同志社の一貫教育

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全体会

演題 同志社の一貫教育に想うこと
発表者 同志社一貫教育探求センター所長 千田 二郎

講演概要

 基調講演では、同志社の一貫教育のこれまでの取組や背景、また、今後、社会情勢・業種業態・産業界構造が大きく変革するなかで、同志社一貫教育探求センター(以下「センター」という。)がどのような想いのもと法人内各学校の連携について検討を行っているかについて紹介がなされた。
 まず、同志社の一貫教育のこれまでの取組や背景について説明があった。2002年5月に大谷實前総長が「一貫教育の理念の明確化と具体化」「中高大連携への取組の提案」「学内高校から大学・女子大学各学部への推薦制度の改善」「各方策の実施体制の検討」の4項目について諮問をされ、一貫教育推進委員会が発足した。2003年2月の答申では、2つの委員会の設置と所管事務組織の設置が提言され、一つは中高大の教育連携委員会、もう一つは推薦制度委員会が設置された。教育連携委員会では、「中高大のカリキュラム連携」、「共通教材の開発」、「教員と授業の交流」、「特化精鋭授業」、「資格試験への対応」、「大学・女子大学への飛び入学」という5つの事項を検討し、推薦制度委員会では、推薦入学についての問題に関する意見交換が行われた。これらを受けて、同志社一貫教育委員会が設置され、現在、各学校・園の縦の連携についての議論が行われていると説明があった。
 学校法人としては縦横の連携が必須であるが、同志社では各学校の独立性が強く保たれてきたということもあり、センターでは、法人内各学校の、特に教科、課外活動、スポーツ活動を活性化するための横の連携を重視した制度設計などを重点的に検討したいと考えている旨説明があった。
 制度設計を行うにあたり、どのような人物の養成を念頭とするのかについて、自身の専門である噴霧燃焼工学でエネルギーデザインや都市設計の研究を通じて、社会状況や産業構造が激変する現在、部分最適の時代は終わり、これからは全体最適の時代となって、総合学的なセンスやリベラルアーツを含めた理系的な考え方が一層重要になってくると感じていることや、アメリカのボーディングスクールでは、世界の人類・宗教・文化、エネルギー・資源問題、工学倫理、法哲学から中東情勢まで、時の政府・政治・財界に左右されない、真に必要な教育が行われていることなども踏まえ、次の通り、想いを述べられた。1つ目は、変わりゆく社会や産業への対応力を持ち、複合領域や境界領域において新たな発想と創造を可能とする知恵を持つ人物の養成、2つ目は自然科学、社会科学、人文科学を加えた三位一体の総合力をもつ人物の養成であった。また、新島襄が官立学校の設置の申し出を断ってまで、私立学校の設立を目指した理由の一つは、自由な学問・研究の実現であり、校祖の想いに改めて立ち返って、人物養成に寄与できるよう、センターとしても力を注ぎたいと述べられた。
 続いて、センターの具体的な取組としては、次の6項目を検討していると説明があった。
 1点目は、教育効果向上のための、各種研修会の開催と支援
 2点目は、一貫教育に関わる教員の各教科の自主的研究会の支援
 3点目は、園児・児童・生徒・学生の人格形成に資する課外活動・スポーツ支援を含む指導や顕彰制度の更なる充実
 4点目は、法人内留学制度による、同志社ならではの国際的な人物養成システムの検討
 5点目は、同志社ブランドを幅広く周知する法人広報の強化
 6点目は、園児・児童・生徒・学生や教職員が世界を視野に入れて活躍できるようになるための基盤の構築
 他にも、女子大学・大学による、高校生向けの特化精鋭授業の連続講座を開設し、単位認定についても検討したい旨述べられた。
 最後に、これらを実現するにあたっては各学校の協力と、何よりも同志社教職員の力の結集が必要であり、ご理解とご協力をお願いしたい旨述べられた。
 参加者にとっては、センターの将来構想を知り、同志社一貫教育について再考する機会となった。

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