予算・決算・監査報告
2025年度事業計画および法人総合予算は、2025年3月29日の評議員会、理事会で承認、決定されました。内容は次の通りです。
事業計画
学校法人同志社(以下「法人」という。)は、創立以来、建学の精神を高く掲げ、良心を手腕に運用する人物を社会に送り出してきました。将来の予測が困難な時代において、豊かさと幸せが実感できる持続可能な社会の実現に向けては、社会を維持・発展させていく人物の養成が必要であり、教育が果たすべき役割の重要性は増しています。
法人では、2019年度に「学校法人同志社中期計画(2020年度〜2025年度)」を策定しましたが、2025年度には「学校法人同志社中期計画(2026年度〜2030年度)」を策定します。また、改正私立学校法に対応して改正した学校法人同志社寄附行為及び新たに制定した内部統制システムが適切に機能しているかを点検しつつ、着実に運用します。
同志社大学、同志社女子大学、同志社中学校・高等学校、同志社香里中学校・高等学校、同志社女子中学校・高等学校、同志社国際中学校・高等学校、同志社小学校、同志社国際学院及び同志社幼稚園(以下「各学校」という。)では、教育の質向上だけではなく、クラウド環境やAIの活用等による教育DXを推進しながらも、主体的・対話的で深い学びを実現し、地域・社会と連携しつつ、学生・生徒・児童・園児のみならず教職員を含めたウェルビーイングの向上を進めます。
今後も、法人は、挑戦を続け、変革を起こす高い「志」を持ち、「地の塩、世の光」として社会で活躍する人物を養成すべく、建学の精神に基づいた良心教育を基軸に教育研究活動のさらなる高度化、深化を目指します。
2025年度に法人及び各学校が実施する主な事業を説明します。
【キリスト教主義・自由主義・国際主義】
法人では、各学校及び関係部課と調整を図り、同志社礼拝堂、神学館礼拝堂、クラーク記念館礼拝堂、京田辺会堂言館、栄光館、新島記念講堂、各学校礼拝堂等を活用した、各学校のキリスト教関連行事(祈祷会、礼拝、チャペルアワー等)、式典、結婚式等を通じて、同志社のキリスト教主義を学生、教職員はもちろん保護者、卒業生及び社会に向けて積極的に発信します。また、本年度は「新島スカラー」の募集が行われない年度(隔年)に実施する「同志社新島スカラー」の募集を行い、大学又は女子大学の学生1名をアーモスト大学へ派遣します。大学国際教養教育院及びAKP(Associated Kyoto Program)の海外からの外国人留学生を、幼稚園及び小中高での英語授業・クラブ活動へ派遣するまた、同志社創立150周年記念事業(大学事業)「『国際主義』の深化に向けた『人を植ゆる』の事業」の計画に基づき、6月に予定されているアーモスト大学長の訪問を機に、セメスター教員交換による教育・研究の質向上、学生の共修型教育プログラムの開発等の領域において、アーモスト大学との交流を強化します。事業も引き続き実施します。
同志社大学では、2024年1月からACUCA(Association of Christian Universities and College in Asia。アジアのキリスト教主義大学22校によりキリスト教主義教育の質の向上と相互連携を目的に1976年6月設立。2025年1月現在、9か国・地域の65機関が加盟。日本では14大学が加盟)の幹事を務めています。2025年8月にACUCAの学生キャンプを、10月にはACUCA運営会議・総会を本学で開催し、加盟校の学生、加盟校代表の学長ほか多数の有力関係者が本学に参集する予定です。キリスト教主義・国際主義を教育理念の一つとする本学が、アジアでの存在感を遺憾なく発揮する絶好の機会となります。
また、大学の同志社創立150周年記念事業「『国際主義』の深化に向けた『人を植ゆる』の事業」の掉尾を飾るものとして、本学とアーモスト大学の交流と絆を確かめ合う歴史資料展示会「未来を切り拓く−アーモスト大学と同志社の交流史(仮)」を開催します。本展では、本学の学生・教職員・卒業生が同志社創立のキリスト教主義・国際主義の原点とその展開について、歴史資料に基づいて振り返る機会を提供し、建学の理念の理解を促進します。全学共通教養教育科目・同志社科目群の教育現場での活用も期待されます。
上記に加え、多文化共生を意識した新時代の国際主義を模索するため、世界的な有識者を招聘した講演会・シンポジウムも併せて企画する予定です。
同志社女子大学では、キリスト教主義教育の具現化を図るために、正課の講義として全学部学科に「聖書」を必修科目として開講し、毎日、同時間帯に両キャンパスで「チャペル・アワー(礼拝)」を実施します。また、様々な形態・目的の国際交流プログラムを学生に提供します。
同志社中学校・高等学校、同志社香里中学校・高等学校、同志社女子中学校・高等学校、同志社国際中学校・高等学校、同志社小学校、同志社国際学院及び同志社幼稚園では、授業や礼拝の時間、各種行事を通じてキリスト教主義教育への理解を深めるとともに、それぞれの学校の特色を生かした留学プログラムや留学生の受入により、国際交流を促進します。
【教育研究】
法人では、同志社一貫教育探求センターにおいて、同志社英語大会-立石杯-、同志社英語プレゼンテーション大会-立石杯-、国際交流に関するエッセイコンテスト、同志社ゴルフアカデミー、同志社宇宙科学セミナー(仮称)、同志社航空事業体験ツアー(仮称)、同志社研修・交流会、同志社合同学校説明会等の事業を実施し、各学校間の連携をより一層推進します。また、各学校間における教育内容の相互理解、共有化を促進することを目的として、教職員の自主的な研究会への支援を行います。
同志社大学では、2024年度に導入した、オンデマンド授業2回と教室での授業13回を基本型とする授業運営を継続し、オンデマンド授業による補完・相補・連動により、授業全体の質の向上を図ります。また、学生が自らの学びを可視化、客観視できるよう、成績情報を多面的にフィードバックし、目標設定や学習の振り返りを実現する、学習成果の可視化システムの導入に着手します。
2024年度は、正課外活動との組み合わせでアントレプレナーシップ教育の体系化を図りましたが、2025年度は、新設する「イノベーション基礎」と寄付講座の「アントレプレナーシップ論」から始まる体系で、全学共通教養教育プログラム「同志社イノベーション・ゲートウェイ」を開設し、“イノベーター思考”を持つ人物の養成に取り組みます。
また、昨年度は数理・データサイエンス・AI教育において、リテラシーレベルに続き、応用基礎(アドバンスト)レベルで文部科学大臣認定を得ました。データサイエンスは、より多くの学生に身につけて欲しい能力でもあり、2025年度はメタバース空間から情報発信する等、教学広報にも注力します。
大学院教育においては、複数の研究科が協力して教育体制を構築する研究科等連係課程の開設計画に係り、大学・高専機能強化支援事業(支援2)への申請を行います。この計画においては、データ科学及びAIに関する専門的知識・技術を実務活用し、新たな価値を創出できる高度情報専門人材養成カリキュラムを検討します。
研究については、2023年度に新設した国際的教育研究拠点形成支援事業において、第2期(2025年10月1日発足)の研究プロジェクトを公募し、国際連携による研究の飛躍的な発展、研究活動を通じた若手研究者の育成及び最先端の教育プログラムの開発に取り組みます。加えて、研究機関や企業、自治体と、包括協定のもと組織的な連携事業を推進し、「多元的イノベーションの場」としての運営を目指します。また、起業支援については、2024年度は、「関西スタートアップアカデミア・コアリション」の事業を推進する上で必須となっていた諸規程を整備しました。2025年度も引き続き、啓発セミナーの実施やインパクトファンドの創設の検討等、大学発スタートアップ創出のための支援体制強化を推し進めます。
同志社女子大学では、2025年9月に学生、教職員の利便性向上をめざし、新教務システムを導入する予定です。新たに導入する新教務システムでは、履修登録や成績管理だけでなく、学修管理システム(LMS)や出席管理、さらには、学生ポータルサイトや学修ポートフォリオの充実を図り、学生個々の成長をサポートする情報環境基盤として整備します。新教務システムを導入することにより、学生自らが、自身の成長及び伸びしろを自覚し、学修設計する「自立的な学び」を展開することを期待しています。また、教職課程においては、2025年度から、小学校教諭免許課程を設置していない学科での小学校教諭一種免許状の取得に加えて、小学校教諭二種免許状の取得も可能となるとともに、幼稚園教諭課程、小学校教諭課程、中学校教諭課程、高等学校教諭課程を設置する学科では、特別支援学校教諭一種免許状の取得が可能となる予定です。
同志社中学校・高等学校、同志社香里中学校・高等学校、同志社女子中学校・高等学校、同志社国際中学校・高等学校、同志社小学校、同志社国際学院及び同志社幼稚園では、2022年度から年次進行で実施されている、高等学校の学習指導要領の改訂に対応した教育活動を展開します。また、それぞれの学校の教育方針に沿った形でICTを活用した教育活動等特色ある教育を継続的に展開します。
【学生・生徒・児童・園児の支援】
法人では、近年の経済情勢を踏まえ、コロナ禍を機に開始した在学生支援募金の募集を継続し、同志社教育を受けることを希望し入学した在学生が経済的な事情によって失意のうちに学校生活を終えることがないよう、各学校を通じて支援金を給付します。また、同志社一貫教育探求センター内にダイバーシティ推進に関する検討部会を新設し、在学生の成長に応じた支援体制の充実を図ります。
同志社大学及び同志社女子大学では、2020年度から開始された国の「高等教育の修学支援新制度」に基づく支援に加え、各大学独自の奨学事業を継続します。同志社中学校・高等学校、同志社香里中学校・高等学校、同志社女子中学校・高等学校、同志社国際中学校・高等学校、同志社小学校及び同志社国際学院では、生徒・児童が安心して勉学に専念できるよう、それぞれの学校独自の修学支援のための奨学金制度を継続します。
同志社大学では、2021年4月に設置した「スチューデントダイバーシティ・アクセシビリティ支援室」において、身体、精神等の障がいや、多様な性的指向・性自認をもつ学生が、学生生活を送るうえで必要かつ適切な支援と機会を得られるよう、個が輝くキャンパスの実現に向け全学的協力体制を推進します。また、増加する学生相談に対応するカウンセリング体制充実の一環として、利用者予備群の居場所作りプログラムを推進する一方、2023年度に導入した学生相談AIチャットボットによる回答精度のさらなる向上を図ります。
同志社女子大学では、障がいのある学生の支援窓口として2020年度に設置、2024年度に名称変更した「スチューデントサポートセンター」の専属コーディネーターを増員し、修学上の配慮を必要とする学生への支援体制を強化します。また、教育上の合理的配慮について、教職員の理解を深め、適切な支援を行うための学内啓発活動に引き続き積極的に取り組みます。
同志社中学校・高等学校、同志社香里中学校・高等学校、同志社女子中学校・高等学校、同志社国際中学校・高等学校では、それぞれの学校の実情に応じて特別支援教育コーディネーターやカウンセラーを効果的に配置し、生徒を支援します。
【学生・生徒・児童・園児の受け入れ】
法人では、少子化問題に直面し、受験者の獲得が年を追って厳しくなる状況は、各学校に共通する法人全体として克服すべき課題であると認識しています。2025年度も同志社一貫教育探求センターの下に設置する実行部会を中心に合同学校説明会を開催します。
同志社大学では、入学志願者の志望動向の多様化の中、これまで実施してきているオープンキャンパスや大学紹介・入試説明会等を中心とした対面での広報活動に加えて、本学の学びや魅力をより一層伝えられるよう、対面以外での広報活動や高大接続を充実させるべく検討し、本学を第一志望とする層の拡大、本学志願者の掘り起しを図ります。加えて、多様な人材の獲得等に向けて、本学における入試のあり方を様々な視点から検討します。
同志社女子大学では、受験生の志願動向が年内の入試へシフトしている状況及び女子大学への志願者が多様化している状況等に鑑み、2023年度より総合型選抜の募集学科や公募制推薦入試の募集人員を拡大し、2024年度は公募制推薦入試の試験地の拡大や一般入試の試験科目と入試方式を見直しました。2025年度は入試制度の一部をさらに見直すとともに、高大連携事業の一層の強化、広報展開による対面接触イベントへの誘導などにより、専願の入試を含めた安定的な入学者の確保に努めます。
同志社中学校・高等学校、同志社香里中学校・高等学校、同志社女子中学校・高等学校、同志社国際中学校・高等学校、同志社小学校、同志社国際学院及び同志社幼稚園では、それぞれの学校ならではの教育の特色を前面に打ち出した対面による入試説明会等の開催機会を中心に、ライブ配信を併用したオープンキャンパスやオンライン進学相談会など受験生がアクセスしやすい環境を整備し、受験者層の拡大に繋げます。
【社会連携・社会貢献】
法人では、これまで地域社会の発展に寄与することを目的に、各地の自治体及び企業等との間で包括連携協定を締結し、積極的に社会との連携を図ってきました。2025年度は、教育、文化、スポーツの振興・発展、人材育成、まちづくりを目的に群馬県安中市と法人との間で締結した連携協定に基づき、7月に安中・同志社新島講演会を開催します。引き続き、法人及び各学校が協力して社会連携と社会貢献に取り組み、社会及び地域のコミュニティと共存共栄できる環境を築きます。
同志社大学では、2024年7月に同志社大学、日産自動車、京田辺市の3者連携協定を締結しました。温室効果ガスCO2リサイクル社会の実現に向けて、産官学の組織連携をベースとした教育研究活動を全学的に推進するスキームとして「同志社大学カーボンリサイクル教育研究プラットフォーム」を設置して、「カーボンリサイクル」に取り組んでいます。日産自動車は、これまで培ってきたEVに関するノウハウやネットワークを活かし、エネルギーマネージメント等により、脱炭素化の実現及び少子高齢化に伴うドライバー不足や地域社会が抱えるモビリティ課題を解決する社会変革を推進しています。京田辺市は、2050年までに市内の二酸化炭素排出量実質ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ」への挑戦を宣言しています。このような背景を持つ三者の協定締結により、既に具体的な連携内容の検討を進めています。2025年度にはこの連携を強化し、同志社大学と日産自動車の共同研究、京田辺市のカーボンニュートラル化に関する共同検討、将来的な自動運転の実装を含め、地域のモビリティ課題解決に向けた地域交通の在り方の共同検討等を進めます。
昨年11月には、ロゴスコーポレーションと包括的連携協定を締結し、相互の連携協力を通じて、次世代教育や社会の課題解決に取り組むことにより、相互の発展と地域・社会への貢献を目指すことに合意しました。2025年度には、人材交流、育成に加え、例えばロゴスコーポレーションの事業に関連する事項としての防災体制の整備、具体的には、災害時の避難後の対応についての検討を進めます。
同志社女子大学、同志社中学校・高等学校、同志社香里中学校・高等学校、同志社女子中学校・高等学校、同志社国際中学校・高等学校、同志社小学校、同志社国際学院及び同志社幼稚園では、包括協定を締結している自治体、医療福祉機関、研究所、企業等と、相互の教育研究活動及び地域社会の発展のために、引き続き連携事業を実施します。
【ガバナンス強化及びコンプライアンス推進】
ガバナンス強化については、理事会、評議員会それぞれの構成及び職務、また、理事会、評議員会、監事の三者の関係を改正私立学校法(2025年4月1日施行)の趣旨、すなわち「多様な人材で構成し、建設的な協働と相互牽制機能を確立すること」「業務執行と監視・監督の分離、明確化を図ること」に沿って改正した同志社寄附行為をはじめとする規則等を遵守し、適切な法人運営に努めます。また、日本私立大学連盟「私立大学ガバナンス・コード」の遵守状況についても引き続き自主的に点検し、法人経営及び運営の健全な発展に繋げます。
コンプライアンス推進については、法人が有する公共的性格に鑑み、競争入札、見積り合わせ及び随意契約の透明性並びに競争入札及び見積り合わせの公正な競争を確保するため、2023年度に「発注案件に関する入札等監視委員会」を新設しました。2025度も対象校を変更して、契約金額(消費税込)が500万円以上のものの中から競争入札3件以上、見積り合わせ1件以上、随意契約1件以上、合計5件以上について抽出を行い調査します。
【危機管理及びリスク管理】
危機管理については、法人及び各学校でそれぞれに「緊急対策本部規程(又は内規)」を制定し、緊急かつ重大な事態が発生した場合は、それぞれで直ちに「緊急対策本部」を設置し、理事長の下で各学校長が必要な措置がとれるよう、危機管理体制を整えています。事案を問わず緊急事態はいつでも起こりうるとの認識の下、法人全体としてより迅速かつ適切に対応することができるよう、法人と各学校との間で課題を共有します。
リスク管理については、法人及び各学校でそれぞれに「リスク管理本部規程(又は内規)」を制定し、教育研究と管理運営を阻害する事態の発生を未然に防ぐために「リスク管理本部」を設置しています。また、法人のリスク管理本部と各学校長との間で「リスク管理連絡会」を組織しています。特に、自然災害への対応については、危機管理担当の常務理事を中心に各学校における防災マニュアルの整備状況、備品・備蓄品の整備状況、防火・防災訓練の実施状況に関する情報を収集し、各学校との情報交換を密にし、法人全体の危機管理体制及びリスク管理体制を強化します。
同志社大学では、2021年度から実施している全学防災訓練を、2025年度は昨年度とは曜日を変えて10月29日に両校地それぞれ2つの建物で実施します。また、災害発生時の安否確認システムを2024年2月に外部システムから同志社大学ポータルに変更しました。これにより、雇用契約を有する者全員への発信、大学内の各種システムとの連携、発信対象者の指定などが可能になり、被災状況把握の精度を向上させる環境が整いました。また、ロゴスコーポレーションとの連携協定で記載した通り、災害時の避難後の対応についても検討します。
同志社女子大学では、今出川、京田辺両キャンパスにおいて、学生及び教職員を対象とした全学防災避難訓練を秋学期に実施します。
同志社中学校・高等学校、同志社香里中学校・高等学校、同志社女子中学校・高等学校、同志社国際中学校・高等学校、同志社小学校、同志社国際学院及び同志社幼稚園では、従来から行ってきた全校生徒、児童、園児を対象とした避難訓練を実施すると同時に、大規模災害発生時の備蓄品を準備します。
【人事厚生】
法人では、2023年度から開始した、小学校、中学校、高等学校の専任教員のWEB勤務管理システムによる労働時間の適正な把握を進めます。また、嘱託講師についても、勤務時間把握の実施に向けて同志社中学校・高等学校、同志社香里中学校・高等学校、同志社女子中学校・高等学校、同志社国際中学校・高等学校で検討を継続します。なお、同志社女子大学では、専任教員全員の出勤時刻及び退勤時刻の把握とともに、教員の労働時間を適正に把握するために、教員の労働の実態に係る調査を検討します。さらに、同志社大学においても、労働時間の状況把握の実施に向けて、懇談会を開催し、引き続き検討します。これらにより、法人として、社員の就業状況を適正に把握するとともに人事労務管理に係るコンプライアンスを遵守します。
育児・介護と仕事との両立については、育児期の柔軟な働き方を実現するための措置の拡充、介護離職防止のための雇用環境整備及び従業員個別の周知・意向確認を進めます。具体的には、2025年4月1日から、子の看護休暇の見直し、所定外労働の制限、残業免除の対象の拡大、介護離職防止のための雇用環境整備として、介護休業・介護両立支援制度等に関する研修の実施及び相談窓口の設置、さらに、個別の周知・意向確認等を行います。また、2025年10月1日からは、柔軟な働き方を実現させるための措置や仕事と育児の両立に関する個別意向聴取、配慮も行います。
障害者の雇用については、本年度から除外率が引き下げられましたので、ハローワークを通じた雇用促進や障害者手帳を持っている教職員への呼びかけを通じて、引き続き、法定雇用率を充足していきます。
従業員の健康の維持については、2025年度から、メンタルヘルス対策として、同志社女子大学、同志社中学校・高等学校、同志社香里中学校・高等学校、同志社女子中学校・高等学校、同志社国際中学校・高等学校に引き続き、同志社大学においても、EAPサービス(Employee Assistance Program)を導入し、心身の健康からモチベーションの向上、職場環境の改善まで、幅広く社員を支援します。具体的には、相談窓口の設置、専門家によるカウンセリング、メンタルヘルスケアやハラスメント対策、ストレスチェックの実施、研修サービスの提供等を通じて、働きやすい職場づくりを実現します。
職員については、これまで、採用、異動、研修、評価等を各学校において独自に行っていましたが、業務の高度化、複雑化、多様化等が進み、情報システムの整備・維持等、これまでにない新たな業務も発生していることから、2026年度から、同志社大学及び香里中学校・高等学校では、職員の採用、異動、研修、評価等の一元化を行います。業務の標準化、効率化を通じて、法人全体の職員力の向上にもつなげていきます。更に、安定した業務運営を目指して、2026年度から順次、労務管理や給与計算業務等の一部外部委託化を進めます。これらにより、専任職員が担うべき本来業務、各学校の業務の統合や従業員の満足度向上、生産性向上の取組み等を進めます。
人事計画については、各学校において、新規採用・補充人事を中長期の財政計画のもとに慎重に行い、必要な人件費を計上して運営にあたります。大学及び女子大学では、大学運営におけるデジタル化、ペーパーレス化を推進し、ワークフローシステムの対象の拡大にも取り組みます。また、同志社大学では、人事情報を管理するツールとしてタレントマネジメントシステムを活用し、最適な人事配置、次世代人材の育成、さらには人事戦略、経営戦略に役立てます。同志社中学校・高等学校、同志社香里中学校・高等学校、同志社女子中学校・高等学校、同志社国際中学校・高等学校では、引き続き、部活動指導員を活用し、安定した学校運営と適正な労働環境構築の両立に取り組みます。
これらの取り組みを通じて、学校法人同志社次世代育成支援行動計画及び学校法人同志社女性活躍支援行動計画の達成を目指します。
【施設設備】
法人では、創立150周年記念事業の一環としていた同志社墓地山道の整備工事が完了しました。2025年度は法人施設であるびわこリトリートセンターの設備を更新します。
同志社大学では、創立150周年を迎える2025年に向けて進めている大規模建設事業である今出川キャンパスの新図書館建設事業、京田辺キャンパスのキャンパスリニューアル事業及びスポーツ・コンプレックス事業を継続します。また、キャンパスと調和のとれた周辺環境の整備やサステナブル・キャンパスも視野に入れた施設整備のため、空調及び照明器具(LED化)等の設備更新を行うとともに、今出川キャンパスでは正門周りの整備工事の継続、京田辺キャンパスでは体育施設更新工事や医心館特定天井等改修工事等を進めます。
同志社女子大学では、京田辺キャンパス知徳館・聡恵館東館空調更新工事(2023〜2025年度)のT期工事およびU期工事が完了、2025年度はV期工事を実施します。また、新島記念講堂ホールおよび友和館ヒバードホールが、「特定天井」に該当することから天井脱落防止対策工事に着手します。また、同志社女子大学創立150周年事業の一つとして「開かれた図書館、人が集う図書館」を基本理念とした、今出川図書館の改修工事を2025年度より2カ年に亘り実施します。その他、2019年度に策定した「キャンパス営繕計画」に基づく各種改修・更新工事、省エネ対策としてLED化推進事業にも引き続き取り組みます。
同志社中学校・高等学校では、校内インフラの安全かつ安心な継続運用のため、受電設備の計画的な更新を行います。それをもとに、南体育館・中アリーナへの空調設備の設置をはじめ、校内の教育環境の向上に努めます。また、中高統合後十数年を経て、交換や修繕が必要な教育設備の点検を行い、迅速に対応します。更には情報教室の大幅なリニューアルを行い、ICT教育の更なる前進を図ります。
同志社香里中学校・高等学校では、長期修繕・改修計画に基づき、ICT教育を支える設備整備、自然災害で被害を受けたプール屋根の修繕、第二体育館の空調設備設置、校内用水路改修工事等の施設整備に取り組みます。
同志社女子中学校・高等学校では、より安全で快適な教育環境を保つため、新生館、静和館等の既存校舎の改修を計画的に行います。また、ICT教育を促進するために、プロジェクターの更新、パソコンや電子黒板の充実を図ります。
同志社国際中学校・高等学校では、開校50年を迎える2030年に向けて、校舎、既存施設の老朽化への対応として、キャンパスのハード面での整備を図るとともに、新しい時代に対応した教育機器の導入など、生徒、教職員がストレスなく学習できる環境を目指します。
同志社小学校では、放課後学童施設を建設し、放課後に児童が安心して自らの個性を磨く居場所を提供します。また、吉峰館空調等設置工事、2024年度から3年計画で進めている明心館空調更新工事を実施します。
同志社国際学院では、開校15年目を迎えて老朽化した各施設設備等について、順次適切に更新、修繕等を行います。2025年度は、ICTシステムのリプレースを行い、学びの環境を整備します。
幼稚園では、園舎の維持管理を適切に進めます。
【財政】
法人では、中期財政目標及び中期財政計画を定め、これに単年度の予算編成を組み合わせて財政運営を行い、財政基盤の安定化を図ります。また、中期財政計画の達成状況については、毎年、点検・評価を行い、必要な見直しを実施して、次年度の予算編成に繋げます。
1.2025年度財政目標
法人では、「学校法人同志社の中長期財政計画」において2025年度までの財政目標を定め、事業活動収支差額比率8%以上(将来は10%以上)、減価償却額の累計額に対する自己資金の充足率80%以上の達成を目指しています。2025年度は、事業活動収支差額比率は8%以上、また、減価償却額の累計額に対する自己資金の充足率については、80%以上を目標とします。
2.2025年度予算
(1)収入の拡大
- @
- 学生生徒等納付金については、入学定員どおりの学生、生徒、児童、園児の確保を重点事項として位置づけ、安定的な財源確保を図ります。
- A
- 寄付金については、法人において「同志社創立150周年記念事業募金」を積極的に展開します。また、各学校では、「同志社大学 2025 ALL DOSHISHA募金」、「同志社女子大学サポーターズ募金“ぶどうの樹”」、高等学校、中学校、小学校、幼稚園のご父母を対象とした募金を推進します。
- B
- 補助金については、同志社大学及び同志社女子大学の私立大学等経常費補助金並びに高等学校等の運営費補助金等について、補助金の動向を勘案し、増収に積極的に取り組みます。
- C
- 受取利息・配当金については、委託運用の活用を含め、効率的な資金運用を推進し、収入の拡大に努めます。特に、第3号基本金引当特定資産運用収入の利回り確保に重点的に取り組みます。
- D
- 付随事業・収益事業収入については、同志社大学において産学連携活動をより積極的に展開し、受託事業収入の増収を図ります。
(2)支出の抑制
- @
- 人件費については、新規採用・補充人事を慎重に行った上での各学校の人事計画に基づく所要額を計上します。
- A
- 事業費については、2023年度事業を対象にして実施した事業計画の成果の検証結果も踏まえて、各学校の教育研究推進に必要な事業項目を厳選の上、計上します。
(3)基本金の組入
- @
- 施設設備整備及び教育研究環境の充実に向け、同志社大学、同志社女子大学、同志社女子中学校・高等学校及び同志社国際中学校・高等学校においては、年次計画に基づく第2号基本金への組入を行います。
- A
- 奨学事業の更なる充実に向け、同志社大学においては、第3号基本金(同志社大学奨学金基金)への組入を行います。
【広報】
法人では、法人部及び各学校からの教職員で構成する「同志社広報委員会」及び「同志社広報小委員会」のもと、各学校の広報計画を共有しつつ、広報活動を展開します。その主軸となる「同志社時報」はこれまでの冊子体の配付から原則Web公開への移行を視野に入れ、社会の要請に応える形で広報を推進します。
同志社大学では、公式ホームページでの情報発信を基本に、オウンドメディア「”D”iscover」のコンテンツ充実や、SNS(新規に大学公式Instagramを開設)による発信数の増加など相互の連携を図ることで、大学の様々な活動の発信を加速・拡大します、また、従来の紙媒体による広報に加え、創立150周年記念事業(大学事業)において、昨年度に引き続き、大学公式YouTubeチャンネルにて卒業生・修了生と学長との対談動画を配信するなど、様々なメディア媒体を活用し更なるプレゼンスの向上を図ります。
同志社女子大学では、動画配信などマス媒体による幅広い層をターゲットとした広報と、対面広報・Webサイト・SNSを活用した直接的な広報を併せて実施し、それぞれが連携する形の広報を展開することにより、対面接触イベントへの誘導、特にオープンキャンパス(年間8回)への誘導を図り、これまで培ってきた接触対応スキルを活かし、志願者獲得へとつなげます。また、本学Webサイトや広報誌を通して、受験生だけでなく一般の方への理解を深めるべく、教員の教育研究の成果や社会貢献活動、在学生や卒業生の活躍の様子などを幅広く発信することで、本学の認知度やブランド力の向上に努めていきます。
同志社中学校・高等学校、同志社香里中学校・高等学校、同志社女子中学校・高等学校、同志社国際中学校・高等学校、同志社小学校、同志社国際学院及び同志社幼稚園では、入試広報を中心に、それぞれの学校独自の魅力を発信し、イベントへの誘導を図るべく、ステークホルダーに響く広報活動をより一層推進します。
【記念事業】
法人では、創立150周年記念事業事務室を設置し、「150年に亘って積み重ねられてきた歴史を把握し、後世に伝えること」「同志社の現況を建学の精神、教育の理念に照らし合せて検証すること」「200周年に向かって関係者が一丸となって新たなステップを踏み出すこと」をその意義に掲げ、同志社創立150周年記念事業委員会の下で、2021年度から2026年度を実施期間として様々な記念事業に取り組んでいます。
11月29日を以て、いよいよ創立150周年を迎える2025年度は、新作能「庭上梅」上演、アーモスト大学ジョンソンチャペルでの記念集会を含む新島襄の足跡を辿るアメリカツアー、全国各地での創立150周年記念講演会(会津若松、函館、札幌、横浜)、新島襄に関するアニメーション制作、創立150年記念式典及び祝賀会などを実施します。
『同志社百五十年史』については、『同志社百五十年史 通史T』、『同志社百五十年史 通史U』に先んじて、『同志社百五十年史 各学校と関連団体』を2025年度内に刊行する予定です。
同志社大学では、2024度に引き続き、2025年度も各分野における著名人を招聘して、大学の様々な取組を社会に発信することにより、大学のブランド力向上に寄与する創立150周年記念シンポジウムを開催します。
同志社女子大学では、2026年度の創立150周年に向けて、同志社女子大学創立150周年記念事業委員会、下部組織である『同志社女子大学の歴史』編纂委員会及び創立150周年記念行事等実施委員会において企画・立案を行っています。2025年度は、記念グッズの制作や同志社女子大学編『同志社女子大学のはじまり』刊行に向けた編集、今出川図書館改修の準備を進めます。
同志社女子中学校・高等学校では、2026年度の創立150周年に向けて、「女子中高150年史」の編纂・記念行事・校地整備等の準備を推進します。
以 上
各年度の予算・決算・監査報告などを
PDFデータでご覧いただけます。
2025年度
![]() |
![]() 〔PDF:1,479KB〕 |
事業計画・予算 |
---|
2024年度
![]() |
![]() 〔PDF:915KB〕 |
事業計画・予算 |
---|---|---|
![]() 〔PDF:1,500KB〕 |
決算 | |
![]() 〔PDF:233KB〕 |
監査報告書 |
2023年度
事業計画・予算〔PDF:915KB〕/ 決算〔PDF:1,322KB〕/ 監査報告書〔PDF:98KB〕
2022年度
事業計画・予算〔PDF:9960KB〕/ 決算〔PDF:1,370KB〕/ 監査報告書〔PDF:172KB〕
2021年度
事業計画・予算〔PDF:940KB〕/ 決算〔PDF:1,370KB〕/ 監査報告書〔PDF:231KB〕
2020年度
事業計画・予算〔PDF:840KB〕/ 決算〔PDF:1,320KB〕/ 監査報告書〔PDF:104KB〕
2019年度
事業計画・予算〔PDF:864KB〕/ 補正予算〔PDF:592KB〕/ 決算〔PDF:1,658KB〕/ 監査報告書〔PDF:256KB〕
2018年度
事業計画・予算〔PDF:868KB〕/ 補正予算PDF:629KB〕/ 決算〔PDF:1,572KB〕/ 監査報告書〔PDF:201KB〕
2017年度
事業計画・予算〔PDF:853KB〕/ 補正予算PDF:617KB〕/ 決算〔PDF:1,572KB〕/ 監査報告書〔PDF:184KB〕
2016年度
事業計画・予算〔PDF:1MB〕/ 補正予算〔PDF:589KB〕/ 決算〔PDF:889KB〕/ 監査報告書〔PDF:133KB〕
2015年度
事業計画・予算〔PDF:1MB〕/ 補正予算〔PDF:639KB〕/ 決算〔PDF:1MB〕/ 監査報告書〔PDF:186KB〕
2014年度
事業計画・予算〔PDF:552KB〕/ 補正予算〔PDF:577KB〕/ 決算〔PDF:555KB〕/ 監査報告書〔PDF:133KB〕
2013年度
事業計画・予算〔PDF:901KB〕/ 補正予算〔PDF:255KB〕/ 決算〔PDF:217KB〕/ 監査報告書〔PDF:90KB〕
2012年度
事業計画・予算〔PDF:901KB〕/ 補正予算〔PDF:792KB〕/ 決算〔PDF:571KB〕/ 監査報告書〔PDF:142KB〕
2011年度
事業計画・予算〔PDF:561KB〕/ 補正予算〔PDF:272KB〕/ 決算〔PDF:291KB〕/ 監査報告書〔PDF:93KB〕
2010年度
事業計画・予算〔PDF:468KB〕/ 補正予算〔PDF:566KB〕/ 決算〔PDF:45KB〕/ 監査報告書〔PDF:110KB〕
※計算書類、財産目録および監査報告書については大学財務部経理課にて閲覧可能です。