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第5分科会 【小学校】

テーマ ホンモノから学ぶ社会科学習〜地域とのつながりを大切に〜
発表内容 同志社小学校社会科学習における取り組みを事例に、ホンモノから学びを通して生まれた同志社らしい教育について考える
発表者 金山 香織教諭

発表概要

 同志社小学校の道草教育とは、子どもたちの様々な視点から生まれる興味・関心を出発点として、最終目的地にどのように向かうのかを子どもたち自身が考えながら実践することで学習の理解を深める教育である。この教育方針を通して実感のある学びの中から「わかった!」という気持ちを引き出すとともに、学ぶことの楽しさから生まれる主体性を育む教育の基礎として各教科の学習に活かしている。本校の社会科教育では、自分で判断し行動する力を育むことをねらいとして教育実践を行っている。また子どもたちの興味・関心から生まれる疑問を実体験を通して考察し、理解したことをみんなに伝える喜びを味わえる授業を提供している。具体的に本校小学校3年生の社会科で実践した「ホンモノ」の学びについて紹介する。
 小学校の社会科教育は小学校3年生から始まり、社会科が楽しいと思える気持ちを育むための大切な学年である。本校児童は様々な校区から通学しており、その後10年以上を過ごす岩倉地区というコミュニティを身近に感じてもらうため、岩倉地区周辺への校外学習という実体験を伴う活動を行っている。
@岩倉まちたんけん(1学期)
 白地図に岩倉地区の気づきを記入し絵地図を完成させる。その後話し合い活動を通してさらに見やすい地図づくりを検討し、地図記号等を用いて地図を完成させる。完成した北方面と南方面の2枚の絵地図を比較して生まれた疑問(例えば駅のまわりに店が多いなど)を解決するために子どもたちが考えて答えを導き出せる授業展開とした。
A土井しば漬け本舗への校外学習(2学期)
 京都のお土産ランキングから提案し、実際にしば漬けを食べて原材料や工場での作り方を考えることで、しば漬け工場への見学意欲を引き出す。すぐに工場見学を提案するのではなく、どうしたら工場見学に行くことができるのか、または工場に行くためにはどのようなマナーが必要なのかを考えてもらい、子どもたちの学びたい意欲をより引き出す。そのうえで工場見学に出かけしば漬けづくりを実体験する。さらに校外学習後に生じた疑問を工場に問い合わせたり、家庭科教諭と協力してしば漬けづくりを体験したりすることでアウトプットし、学びを深める授業展開とした。
B明徳小学校「小さな博物館」への校外学習(3学期)
 昔の道具が展示されている明徳小学校を訪問し、道具を実際に体験した。加えて、当時の道具に詳しい地域の方の協力のもと道具の使い方を学んだ。さらに校外学習後に生じた疑問や自主学習を通して生じた疑問を解決するため、地域の方を招いて特別授業を開催し、学びを深める授業展開とした。
C石座神社奉賛会による特別授業(3学期)
 1学期の岩倉まちたんけんの時に見た石を祭った神社から岩倉の火祭りへと展開し、実際に火祭りに参加している石座神社奉賛会を招いて特別授業を開催した。
 特に地域とのつながりを持てたことは大きな成果である。公立小学校とは違い私立小学校では地域の施設や人々とのつながりが薄いように感じている。しかし教員側からの積極的なアプローチにより今回のような授業実践に発展させることができ、子どもたちの学びの意欲を引き出すことができた。今後も地域のつながりを大切にし、自分とみんなが幸せになる社会を考えることのできる子どもたちを育てたいと考える。

第5分科会 【小学校】

質疑応答

Q.授業において積極的に発表ができない児童に対してはどのようなアプローチを行っているか。

A.座席が前後の小さなグループで話し合ってもらうことで発表ができない児童でも話ができるように工夫している。また、発表に消極的な児童の意見について席が近くの児童に発表してもらうことで児童の自信につなげ、積極的に発表ができるような環境づくりに工夫している。

Q.話し合う力の実践は1年生から行っているのか

A.難しいながらも1年生から話し合いの時間を設けて実践している。決して1年間で身につく力ではないため、6年間を通してそれぞれの学年にあった実践を行っている。

Q.校外学習の場所はどのように探しているか

A.夏休み等の長期休暇を利用して実際に教員が足を運び、学びにつながるかを検討している。しかし公立学校については管理職を通して依頼を行った。

  • 子どもたちの学びへの関心をうまくつかみながら授業展開を行っていることにとても感心した。学習のねらいに向かうためのストーリーの構成ひとつで子どもたちの意欲を引き出すことができるということを学んだ。
  • 子どもたちの自主的な学びに向けて最適な教材検討を改めて考えなおすきっかけとなった。
  • 良心の身につけ方を教師から指導せずに子どもたちから引き出す授業の組み立て方が面白いと感じた。
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