OECD加盟国48カ国の教員を対象とした調査( TALIS 2018 )を見ると、日本の教員は長時間労働にさらされている上に人手不足を感じている。それに反比例するように、教員の「自己研鑽」にかける時間は最低レベルで、週あたり30分程度。また、子どもたちに対して「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善やICTを活用した取り組みも最低レベルであり、深刻な問題であると指摘されていることを紹介した。
あわせて、山口大学和泉研二氏が提起された「医学教育モデルコアカリキュラム」(文科省2001年発表後複数回改定され、2016改定が最新)の教員養成への応用の可能性について紹介した。
かたや同志社系列校は、文科省が主導して教育改革(学校改革)を急速に進めていく公立校に比べて、そのスピード感や内容において「遅い」し、「薄い」といわざるを得ない。これは「致命的な問題」であるとさえいえると指摘した。
そこで、≪同志社中学校が取り組む「学び続ける」学校文化の創造≫という目的の下に教員研修の体制をゆるやかに構築してきた概略を紹介させていただくと同時に、「Round Table」という取り組みについて体験していただいた。
この「Round Table」というのは、4・5名でグループを作り、机を囲んで互いの授業実践などを語り、傾聴するというもので、一般的な学会発表のようなハードルの高さがなく、人前で実践報告をしたことのない若手教員にとっては比較的気軽に語り合える場を作り出せる取り組みである。
中学校ではこの「Round Table」というのを数年前から若手教員を対象に各学期に1回は行うようにしてきたこと、今年度はさらに若手教員だけでなく全教職員で行うようにしたことなどを紹介した。
研修会では、参加者を4つのグループに分け、短時間ではあるが「Round Table」を体験していただいた。参加者は自分の実践をじっくりと聞いてもらい、またアドバイスしてもらうことで、自分の実践を省察的にふり返ることができたのではないだろうか。
一般的に言って教員養成課程は大学4年間しかなく、いわば「促成栽培」された苗木同然の状態で教員は学校という現場に来る。そこからどのようにして根を張り、幹や枝を太くし、豊かな実りへと成長をさせていくかはそれぞれの学校現場に任されているが、公立校ほど研修制度が明確でない私学の方が、自由度の高さがマイナスに作用しているのではないかという危惧すらある。
こうした危機的な状況を改善する一つの方法として「Round Table」を提起させていただいた。
学外で行われるさまざな学習活動も大切であるが、「自分たちが日々対面している子どもたちを中心に据えた教員同士の学び合う関係」を学内に作り上げることがより重要であると感じる。
今後の各校での教員研修の一助となれば幸いである。
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