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第7分科会 【女子大学】

テーマ 看護基礎教育における成人急性期看護学実習の取り組み
発表内容 (授業実践)
発表者 當目 雅代 看護学部教授

発表概要

本分科会では、女子大学看護学部で行われている様々な取り組みの中で、発表者が主に担当している「成人急性期看護学領域」での実習を中心とした看護基礎教育に関する発表が行われた。

 まず、導入部分として、発表者の自己紹介から女子大学看護学部に関わることになった経緯の説明、「看護師」「助産師」「保健師」のそれぞれの業務内容についてその違いが解説された。また、現在の日本の看護師数についても説明があり、現在100万人以上の看護師が在職しているが、その一方で「潜在看護師」が看護師不足の一つの原因にもなっているという指摘があった。
また、看護師養成課程の多様なあり方、および全国の大学の実に三分の一の272大学が看護師課程を有していることなどの説明がなされた。

 その上で、PSC(プラクティカル・サポートセンター)の存在など「同志社女子大学看護学部」の特徴の説明がされたのち、いよいよ発表者の主担当である「成人急性期看護学領域」に関する取り組みについての話がなされた。
 「急性期看護とは生命の危機状態での看護」という説明ののち、その急性期看護として対応すべき6つの状況等のなかでも大きな部分を占める手術療法前後の「周手術期看護」についてさらに詳しい説明がなされた。周手術期とは手術中を含めたその前後の期間を指すが、現在は「早期離床」という言葉に代表されるように、医療機関での手術にまつわる入院期間をできるだけ短くする傾向にあることが述べられ、急性期看護としては、その中でも特に「退院後いかなる療養生活を送っていくか」が大きなテーマとなっていることが話された。

 そうした現状を踏まえ、女子大学看護学部では「成人急性期看護学」の学びとして、患者への指導やその状態評価を行うことができるようになるため「看護過程の展開」「術後管理技術」等について特に力を注いでいるとの説明がなされた。
 また、周手術期看護の学習内容としては、「術後合併症の予防と早期発見」については、看護師が大きな役割を果たすと部分あるとの認識で、「いかに神の手を持つ医師が手術を行ってもその後に術後合併症が出てしまうとすべてが水泡に帰してしまいます」という言葉は印象に残るものだった。
 「看護過程の展開」とは、患者情報から「根拠」を考えながらその患者に合ったケアを計画するための思考過程であり、看護モデルコアカリキュラムにおいても重要な位置づけがなされているものである。本学ではそれについて様々な形のペーパーシミュレーションにより学生が「関連図」や「看護計画案」を作成したうえで、それらがルーブリックにて評価されていることが紹介された。
報告の途中に、実際に学生が作成したそれらの資料を参加者で回覧したが、非常に詳細に作成されており、本学での看護教育の成果の一端を見ることができたと感じられた。
それらの説明のなかで発表者は「根拠」を非常に大事にした形で授業を行っていることを強調していた。
また、ほかにも病院実習までの視聴トレーニング教材も豊富に準備し、実習前にいつでも利用できる体制となっていることも報告された。

その後は3年次の病院実習に話が進み、第1期生の最初の実習に出たグループで学生も教員も非常に苦労したのち、その経験を土台として次の期のグループや次の年代の実習においては、実習先で非常に高い評価を受けていることが紹介された。
実際の「成人急性期看護学実習」での学生と教員の3週間の実習の内容が紹介されたが、その中で学生が最も難関だと考えているのは當目看護師(すなわち授業担当者)への報告であるらしい、と笑いながら述べられた。その後、ある大学の病院実習のドキュメント映像を視聴したが発表者曰く、どの大学も同じような形であるとのことで、その先に本学学生の実習での姿が透けて見えるようであった。
視聴後、発表者が1年次の必修科目で引用している書籍の一部分がフロアにも紹介され、「看護」を行うための思考過程の重要性と、多くの時間を割いて準備をしてそのうえで「ケア」を行っている、ということを強調していた。

報告の最後に、1期生(2015年度生)の国家試験合格率と就職先の紹介および看護職者として看護師のその先のキャリアの紹介がされ、報告が終了した。

第7分科会【女子大学】
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