同志社小学校が考える「同志社らしさ」とはなんだろうか。同志社小学校に通う子どもたちは自己肯定感が強く、個性豊かな子どもたちがほとんどである。一方で、小さなころに受験を経験したことにより、競争意識が強く、その影響で劣等感を持ち、早い段階からできないことを認めてしまう子どもたちも存在する。そのような子どもたちに対して、勉強に対するモチベーションを保ち続ける力を養うとともに、「学ぶことは楽しいこと」と感じてもらえる学習環境の設定が同志社小学校教諭として求められているのではないだろうか。
同志社小学校では、多くの専科教諭がそれぞれの科目を担当し、専門的な指導を実施している。理科については、様々な活動の中で、五感をフル活用して不思議を発見し、子どもたちの科学的なものの見方を養う工夫によって自然科学の面白さをたくさん紹介するとともに、世の中には面白いことであふれているということを教科書+αで教えている。また、研究者や専門機関とのつながりを通して専門性の高い理科教育も提供している。具体的な取り組みは以下のとおりである。
つながりから生まれた取り組みとしては、同志社高校の山崎教頭先生のご協力のもと開催している天体観望会、保護者であるお母さんたちとともに開催したサイエンスショー、京都水族館館長のトークイベントやミュージックイベント、同志社大学生によるフォーミュラーカーやグライダーの構造を学ぶ特別授業、同志社大学の研究室を訪問し大学の研究を肌で感じることのできるサイエンスキャンプの開催、科学助成金による同志社小学校・岩倉南小学校・京都水族館共同での岩倉川等の自然調査活動、同志社小学校から大学までの理科の先生が集まって開催する道草授業作り研究会等、バラエティー豊かな学びの場を子どもたちに提供することができた。身近な同志社中高大とのつながりや、岩倉地域のつながり、さらに京都市のつながりによって本当に価値のある学びの場を用意することを今後も続けていきたい。また様々な取り組みを通じた理科という分野を中心として、科学や工学・芸術などを統合的に学習する「STEAM教育」の重要性を実感した。
このような学びの環境や教育を通して、子どもたちはいろいろなものを受け入れ、自由でやわらかな感性を育み、社会貢献につなげることが可能になる。この取り組みこそが「同志社らしさ」と考え、さらなる教育実践や研究を展開したい。
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