一人ひとりの「深い学び」を支援する高校世界史のアクティブラーニング型授業〜問いで始まり、資料を読み解く学び合いを通して〜
川島 啓一(中高)
アクティブラーニングを形式的なもので終わらせていないか、どう深い学びにつなげているかが課題。
アクティブラーニング"型"=一斉講義とアクティブラーニングを組み合わせる。ただし、アクティブラーニングは多義すぎる。一斉講義が悪いというような表現があるが、それは違う。アクティブラーニングは、学校内外での孤立しない学び、生徒の意欲や感性、学習者の違いやニーズに対応する、生徒の学習権を保証するためのものになるべき。
生徒が、歴史は暗記ととらえたり、世界史が嫌いになることをどう乗り越えるのか。歴史用語をただ覚えるだけでは役には立たない。問いや資料を通して使い学習をすすめることが大事。歴史は、現在と過去との対話である。(E.H.カー)
当初はグループ学習を入れていたが、時間がかかるので、現在はペア学習をよく取り入れている。学習目的・内容によって学習方法を変えるのが大事。
考え、共有して、検討する。その際、1.歴史的事実、2.解釈(なぜ?)、3.「歴史批評」(小川幸司『世界史との対話』(上中下)地歴社,2011-2012)つまり、いまの社会や自分自身にとってどう重要なのかなどに踏み込むことの三つの点を考え学習に取り組む。問いの質、資料をどう使うかが大事。高校世界史の学習で、抜けてしまいがちな「支配される側の論理」を大事にしている。
本当に深い学習となっているのか、エビデンスがなく説明がしにくい。ルーブリックで採点するが受講生が多く苦労も多い。しっかりと生徒にも書かせて、観点別に採点するなど、さらに深さが必要と考えている。
互いに学びあい、発話力を高めるスピーキング活動〜ロイロノートを利用しながら〜
大岡 創一朗(中高)
発語力を高めるのが関心の中心。スピーキングの能力、流暢さの向上は、繰り返し練習することが大事。どれだけ知っている表現を広げられるか、せっかく学習するのであれば正しさを求めたい。そのためのフィードバックが重要。教員の指摘だけでなく、自分で聞いてみる、友達とやりとりして振り返るなどで刺激を与えたい。
・ワードカウンター
広島の西先生が考案。ペアワークをして語数を数える。スピーキング能力は語数だけではないが、数値として見えるようになる。よく出来る生徒は語数が多い。繰り返し取り組むと数値が増える。達成感を味わえるようにする。
・4/3/2
こちらも広島の先生に教わった。本来は4分→3分→2分で、テーマを変えずに3回話をする。本校では1分→45秒→30秒で取り組んでいる。最初1分で話しきれなかったことが、繰り返すことで30秒で言えるようになる。
WPM(Word Per Minutes)=1分間の語数。取り組みの際には、その日のテーマ、1分間・30秒間で話せた語数を記録していく。語数が最初の1分より、30秒のほうが2倍くらい増える。達成感があるよう記録しながら継続している。
取り組みの際には、ルールとしてペアが話したこと表現は真似していいとしている。4名1組でペアを変えながら実施する。1回目A-B,C-Dで1分間、2回目A-C,B-Dで45秒、最後はA-D,B-Cでペアを変える。ペアの表現を真似した場合でも3回とも話す相手が違うのでわからない。結果取り入れやすい状況をつくる。トータル2分間で活動が終えることができ刺激的な活動となる。
・ロイロノート
発音をロイロノートで録音して出させている。生徒全員がiPadをもっているので、音声やスライドを生徒が提出するのに便利。
昨年は、話せた語数をカウントして、録音したデータとともに提出させた。それに教員がコメントを記入し、生徒に返却して次の機会に活かすようにしている。効果としては生徒にもよるが語数が99から131に2週間で増えたこともあった。特にモチベーションが高い生徒が伸びた印象で、使えた文法項目が増えたことも実感があった。発音面でもfやrの音がよくなり、発表の内容も面白いものだった。
続けて実施するのが難しく、継続性が課題である。3学期は余裕がでてくるが、特に1学期は時間がとれない。昨年は47名クラスで、オーガナイズが難しい。もう少し授業時間が欲しいと思っている。