同志社小学校は、開校10周年を迎え、新島襄先生の言葉である「人一人は大切なり、一人は大切なり」の通り、子ども達一人ひとりを大切にすることを教育の基本としてきた。谷川俊太郎氏が作詞した校歌に「えらい人になるよりもよい人間になりたいな。同志社小のわたしたち」と書かれているように、他者への優しさや思いやり、感動、感性、そして良心に従いながら、学びの過程を大切にし、思考力や判断力、コミュニケーション能力、自主性や道徳性といった人間力の育成を目指してきた。
その例として、教科指導に捉われない「道草」の時間を設定し、児童一人ひとりの興味関心を出発点として、子ども達自身で研究テーマを決め、まとめ、発表する「道草研究」を行ってきた。また、1年生の時から宿泊を伴う体験活動があり、その集大成として6年生ではアメリカへ行き、アーモスト大学訪問や現地小学校、ボストン子どもミュージアムでの交流などを行っている。小学校の行事や活動一つひとつにもいわゆる「新島(同志社)スピリット」が息づいていると言える。
本発表では、その中で5年生の北海道宿泊体験学習と6年生の修学旅行について報告した。
2015年度は、社会科と道草の時間や行事の「活動」をつなぎ、総合的に学ぶという意識をもち、実践に取り組んだ。5年生では毎年、夏休みに北海道宿泊体験学習として、新島襄先生の願いにふれながら、函館散策や体験学習に加え、北海道長沼町で分宿し、農業体験を行っている。今まで取り組んできたこうした行事活動をより高めるため、「道草」の時間に「北海道研究」として、北海道について自分自身が興味関心のあるテーマを一つ選び、調べ、ファームスティ先の農家の方に夜レポート発表をした。一方、社会科として、北海道長沼町の農業を中心に教材化し、授業で取り組み、「なぜ、長沼町は大豆づくりが全国2位(北海道1位)なのだろうか」という疑問を追究し、学び合いを深めた。
2016年度は、修学旅行でアーモスト大学やボストンを訪問した。本年度より提携した現地小学校との交流やリタイアメントセンター、ボストン子ども博物館で日本の遊びや文化を交流する機会をもった。またこうした活動に対して、英語科や道草のみならず、家庭科、書写、図画工作科などで現地の方へのプレゼントづくりや修学旅行と連動した学習活動を行った。
こうした取り組みを通して、「良心」を核として道草、行事、教科が連動して子ども達の学びを深めることができた。 |