はじめに、聖書科・教頭平松譲二教諭より、キリスト教主義教育の一環として、同志社女子中学校・高等学校が全校挙げて実施している花の日・福祉の日の意義及び沿革について説明があった。キリスト教の暦にほぼ合わせ、11月の収穫感謝の日と共に、6月に花の日として午後に有志の生徒・教職員が8か所の福祉施設を訪問する行事を伝統的に実施してきた。これを2003年より高1生徒全員が施設訪問に参加する行事へと改組し、2004年より高2生徒全員が高齢者福祉講演会、2012年より中学生全員が人権講演会、高3生徒全員が車いすバスケットボールの体験と交流にそれぞれ参加する全学年行事として拡充し、現在に至っている。花の日礼拝に寄せられた花は花束にして、高1施設訪問のほか、各学年行事で招いた講師諸氏、駅や近隣学内諸校に寄贈している。
高1の施設訪問と当日に向けた宗教部の取り組みについて、宗教部酒井由行教諭より説明がされた。宗教部の組織、その中の母の日・花の日パートの仕事、当日および当日までの献金、有志生徒・教員による花の持参、高1生徒による自ら持参する花束の作成、父母の会「花の会」の保護者によるその指導と協力、午後からの訪問の様子が示された。高1生徒は原則2名の付き添い教員のもと24か所の施設を訪問し、施設について学ぶ。花束を渡し、施設に応じて合唱を披露し共に遊戯をするなど、入所者・利用者と交流の時を持つ。施設は障がい者福祉・高齢者福祉・児童福祉・病院・NGOに大別される。
高2の高齢者福祉講演会について、家庭科真野範子教諭より説明がされた。現在は学校行事に位置付けられているが、2004年開始時は家庭科研究会近畿大会での発表「高齢者への理解を深める取組―中高大一貫校における家庭科教育―」を背景として授業の一環として始められた。本校及び同志社大学卒業生である2人の講師を招き、ケアマネージャーの視点から見た高齢者福祉の現状と、音楽療法の取り組みについて講演とワークショップを実施している。
高3の車いすバスケットボールの体験と交流について体育科加地尚樹教諭より説明された。坂野睛夫氏との出会いを契機に開始され、体育の授業での事前学習を経て、当日坂野氏と選手6名を招いて実施している。試合観戦と応援、生徒全員の車いす体験、各クラスに分かれ選手一人ひとりから直接体験を伺う交流の様子が示された。生徒の生き生きとした様子と真摯なまなざしが活写されていた。
最後に中学人権福祉講演会について平松譲二教諭より説明された。第一回は2012年、講師に腰塚勇人氏を招き、以後、劇団あしたの会、松永信也氏、岡崎愛子氏、森元美代治氏と毎年講師を代えて実施している。中学生にとって人権とは、福祉とは、そのよりよい学びの場となるべく、人権教育委員会のうち、教頭が担当して実務にあたっている。 |