同志社高校で、2016年3月21〜26日の5日間にわたって実施した「エンパワーメントプログラム」の実践報告。高校全学年より希望者約50名が参加し、同志社高校を会場とした留学プレ体験の企画である。グローバル社会の進展の中で、英語の力が必要だという意識が高まり、「いつかは留学を経験したい」という思いを抱いている生徒は多い。しかし、語学研修や異文化体験での留学には、時間的な制約、経済的な負担もある。そういう状況で、新しいプログラムの実施を検討していた本校が、ISAよりエンパワーメントプログラムの紹介を受けた。国際色豊かで高い意識を持つ、海外の大学生や日本の大学への留学生と、英語でコミュニケ―ション、ディスカッションをするプログラムである。その中で、社会の様々な問題を考えて解決する力、発信していける力を育んでいくことは、本校生の要望にも応えられる上、異なる価値観や背景を持つ大学生の存在が生徒への大きな刺激となると考え、プログラムの実施を決定した。
プログラムの議論のテーマは、文化遺産、環境、18歳選挙権など多岐にわたり、常に英語でディスカッションを深めた。プログラム最終日にアンケートをとったところ、参加生徒の98%が満足したと答えた。英語に対する満足度だけでなく、これから生きていく上で必要なことを考えられた、自分に自信を持つことを教えられた、人前で話すことが怖くなくなった、など自分自身の成長を答えている生徒が多かった。「ポジティブな考え方の重要性に気づいた」という点を自分の成長した部分とあげる生徒が多い。大学生が夢を明確に語り、その実現のための手段を持っていたことに大きな刺激を受け、彼らを通じて、様々な文化を知ったと実感していた。最終日に一人ずつが行ったプレゼンでは、今まで人前で語ったことのない夢を語る生徒もいた。現在の自分の英語能力を自覚しつつ、さらに勉強していきたいという意欲を持つところにつながった。参加生徒には、もともと英語が好きで積極的な生徒もいるが、クラス活動の中では大人しくあまり目立たない生徒も多かった。彼らが新学年ではクラス委員等に立候補するなど、新しい変化も見られ、成長が日常の中で形となって表れている。
はじめての実施であり、これからの検討課題もあるが、英語を勉強する意欲を育むことはもちろん、英語だけではなく、生きていくためにこれから何が必要か、ということを生徒が考える契機、刺激になったことは、大きな収穫であった。 |