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第1分科会 【同志社中学校・高等学校】

テーマ 学び合う空間 〜学びの「主体」を問う〜
教材・評価・教師……求められている新たな学校像とは?
発表内容 急速に進められる「高大接続改革」は教育全体を大きく変えるものとなりつつある。そのなかで同志社はいかにあるべきか、あらためて問い直し、系列小中高の課題を整理する。
発表者 井口和之( 同志社中学校:長期計画委員会 委員長 【社会科】 )

発表概要

  1. 「教える・教えられる」から、「学び合う」へ
    【「思考力」が重視される新しい学校像とは】
    正解のない問題を、仲間たちと試行錯誤しながら解き明かそうと挑み続けることが求められている。

  2. 文科省が急ピッチで進めている「大学入試改革」
    【2020年「入試」はどう変わるのか】
    単なる入試の変化に収まらない。高校のみならず小中学校へも波及し つつある「思考力」を重視するということとはどのような変化をもた らすのか。従来のイベント型の「高大連携」ではなく、恒常的な高校 と大学の接続・連携が求められる。それが国公立校ではこれまでにな い、「ものすごい」質と量とで実施されつつある。そのような中、指 導要領に準拠しつつも独自のカリキュラムを創りあげてきた同志社が、 ともすれば、取り残され「化石化」するのではないかという危惧すら 感じられる。


  3. 中学校の取り組み例
    【学習ポータルサイトを活用した「反転授業」について】
    講義を大胆に減らし、iPadを利用した自宅学習と、学校での討論 形式の授業とを組み合わせた実践を紹介。その過程で子どもたちの深 い学びへの可能性が認められたこと。

    【「最適解」・「納得解」を導く公民分野の授業実践について】
    教員でも即答できないナイーブな問題(今回は、「学園祭をめぐって、 人種差別的な問題が発生したとしたら、担任としてどう対応するか」 というロールプレイ)に、中学生がどのような「解」を導き出したか を紹介。正解のない問題にも十分に対応できる姿が認められたこと。

  4. 学習意欲と「情動」について
    【従来型授業の弊害】
    これまでの講義形式・座学と、テスト偏重の教育では、子どもたちは ほとんど「成長」が認められず、むしろ弊害すら表れてきた。学習意 欲と成長の相関関係にあらためて注目すべきであるし、またPISA やOECDの「リテラシー」としても位置付けられつつある学びへの 情動(エモーショナルな部分)について検討する必要がある。

    【「情動」が学習意欲におよぼす影響について】
    「フロー状態」を創り出すことは、生徒の成長を飛躍的にすすめるだ けにとどまらず、実際は教員のはたらき自体にも好影響を与えること を確認した。また、教員に求められる資質として「コーチング」の理 論に学ぶ必要性も指摘した。

  5. 「主体的な学び」を支える前提としての学校建築
    討論形式などの、いわゆる「アクティビティ」が多い授業が展開され、 一方で「哲学的思考(内向的思考)」に慣れた生徒には「居心地の 悪さ」となる場合がある。そのことを理解しつつ、カウンセリング体 制の充実や、学校建築の工夫が必要となる。「ひとりぼっち」でもいら れる学校空間でなければならない。
第1分科会 【同志社中学校・高等学校】

質疑応答

Q1(小学校教員)
  • 評価をどの様にされていますか?
A1(井口)
  • 社会科の基礎学力的な部分を暗記させているが、評価全体の30〜40%程。
  • 思考的な部分について加点していくかたちにしている。
Q2(大学教員)
  • 大学でも思考的な学びをどの様に評価すべきか検討している。
  • ルーブリックなど、評価基準化をはかったり、学生によるルーブリックなど、検討しているところ。
A2(井口)
  • 教員による評価はしなくてよいのではないか、とも考えているところ。
  • 小グループでの討論の中で、良い意見を出している生徒もあるが、教員がその意見を100%聞いている訳でないし、物理的にも不可能。なので、教員の評価は絶対でないとして、自己評価、生徒同士の相互評価を加点していく。本来、評価とはそのように「その場で即」であるべき。
  • 「アドミッション・ポリシー」、「カリキュラム・ポリシー」・「ディプロマ・ポリシー」の3つをきちんと考えるべき。
  • 学習ポータルサイトを利用して、反転授業にも取り組んでいる。そこからは、教員が予想していた以上に、生徒達が思考している状況について報告した。テストの為の暗記は、結局は定着しない。一方、反転学習を用いた学習で思考してきた内容は、それ以上に記憶に定着し、数年経った後から、ふりかえり、その時の事が記憶の中から甦ってくることがある。その事を評価したいと思う。
Q3(中学校教員)
  • 中学3年生が卒業していく時に、どの様な人になって欲しいと考えているか?
A3(井口)
  • 以前はその質問の回答には、卒業してから、こんな人物像……、とか思っていたが、2009年度あたりからその様な考え方ではなくなっていった。卒業してからどうこうでなく、中学生であってもできる力があると思う様になった。
    先程の事例の通り、様々な質問を投げかけ、生徒たちが思考して回答してくる。
    そこには、教員がこんな答えが返って来ると予想しているが、はるかにそれ以上の答えが返ってくる。卒業して成長してどうこう、という事でなく、既に中学生は、中学生のまま、できる力を持っている。自分達の持っている力で思考してやる。間違ってこけても、起き上がり、次に向かっていく力がある。卒業してから、どう育って行くか? という質問が、そもそも違っている様に思う。
Q4(香里中高教員)
  • ソーシャルスキルトレーニングの事が書かれてあったが、この点について教えて欲しい。
A4(井口)
  • 主体的な学びの中で様々な場面に遭遇する事がある。その時にどの様に対応し、サポートしていくかが大切。生徒が自分の意見を発表した時、それを揶揄したり、クスクス笑ったり、空気を読まずに発言したり、そんな時にも絶対に駄目とは言わない。例えば、揶揄する発言があった場合には、教員がその意見を逆にベタ誉めして「こんなに素晴らしい意見なのに、その事を理解すべき……」という返し方をする。駄目と言わない。 空気を読まず発言する生徒や、どうしても討論に参加したくないと言ってきた生徒に対しては、記録係の役割を与え、教員のアシスタントをさせたこともある。様々な場面が出てくるので、その時その時に、瞬間的に判断し、適切な対応をする。適切に対応が出来るように、教員自身が、ソーシャルスキルトレーニングやコーチング理論に学ぶ必要がある。
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