同志社女子高校国語科で、3年前から実施している「新聞リレーノート」の取り組みについて、その主旨と実践例とを報告した。
まず、「新聞リレーノート」とは、7〜8人を1グループとし、「記事選択者が選んだある新聞記事への意見について、班のメンバーが意見をリレーしていくもの」である。ここで重要なことは、意見を述べる際は、必ずそれまでに出た意見を踏まえなければならないということである。すなわち、記事を読み、意見を読み、それを批評しつつ自分の意見を構成し発表する、という作業をすることになる。この取り組みによって、現在社会的に求められている国語力――読解力、論理的思考力、批評力、文章構成力の向上を図りたいと考えている。
さらに実践例を挙げつつ、問題点や取り組みの効果を解説した。まずはよくある問題として、「記事選び」の難しさを指摘した。記事選択者が適当でないテーマの記事を選んでしまうと、議論にならないというものである。具体例として挙げたのが、社会的な視点からの分析が難しいもの、論証に専門的な知識を要するものである。この解決策としては、教員がコメントで記事を選択する際のポイントを説明する、あるいは慣れるまでは教員側で記事を選んでしまうなどの方法が考えられる。
最後に、リレーノートを継続して行った学年の途中経過を報告した。現高2生が1年前の高1時に行ったリレーと、今年度の5月に行ったリレーとを提示し、比較を行った。その結果、高1時には情緒的、道徳的な「感想」の羅列にとどまってしまっていたのものが、1年後には客観的な視点からの「意見」を含めた議論になっていることを示すことができた。
これらの例から、「新聞リレーノート」によって生徒たちには社会的な国語力が少しずつ身についているのではないかと考えられる。ただしグループごとに力の差があるのが現状である。教員はコメントを通じて、そのグループの力に応じた指導をすることで、生徒の国語力を高めていかなければならない。 |