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総長スピーチ集

2016年度同志社香里中学校・高等学校入学式祝辞(2016年4月9日)

同志社総長 大谷 實

 本日、同志社香里中学校・高等学校に入学された生徒の皆さん、ご入学、誠におめでとうございます。辛いことや悲しいことがあったかと思いますが、それを乗り越えて、晴れて、今日の入学式を迎えられました。皆さんの頑張りをほめたたえ、心からお祝い申し上げます。また、今日までお子様を手塩にかけてお育てになられたご父母、ご家族、ご親族の皆様、お子様の晴れの姿をご覧になられて、感慨一入のものがあろうかと思います。本日は、誠におめでとうございます。

 さて、新入生の皆さんは、自分から同志社香里中学校・高等学校に入りたいと思って入学したのですから、同志社香里中学校・高等学校がどんな学校かはご存知かと思いますが、同志社という名前の付く学校は、同志社大学や同志社女子大学など、全部で14あるのです。そして、どの学校も「良心教育」を行う学校として、全国的に有名なのですね。最近では、良心教育は同志社ブランドであるとも言われています。

 それでは、「良心教育」とは何でしょうか。良心教育の中身については、これから学校の先生を通じて少しずつ理解を深めてもらいますが、今日は入学式ですので、同志社総長として考えている良心教育について、ごく簡単に、お話ししてみたいと思います。

 「良心」という言葉は、これから先生に何度も聞かされると思いますが、ご存知のように、今出川キャンパスの同志社大学の正門入口には、同志社の看板・表札ともいうべき良心碑が建てられています。良心碑は、香里中学校・高等学校のキャンパスにも建てられていますので、皆さんにも是非ご覧いただきたいのですが、その良心碑には「良心の全身に充満したる丈夫の起こり来たらんことを」という同志社創立者・新島襄の言葉が刻まれています。新島襄は、この「良心」という言葉を非常に大切にし、「一国の良心」と言ったり、「良心を手腕に運用せよ」というように、大事なところで「良心」という言葉を使っているのですが、それでは、良心とはどんな意味なのでしょうか。

 「良心」という言葉を辞書で調べてみますと、「何が善であり悪であるかを知らせ、善を命じ、悪を斥ける道徳意識」と書いてあります。中学生の皆さんには少し難しいと思いますが、要するに、「人間の心には良い心と悪い心があり、何かをするときは、良いことか、悪いことかを判断し、良いことを進んで行わせ、悪いことはやめさせる心」そういう心が良心だというのです。

 この考えかたは、もともと中国から来た言葉なのですが、同志社の創立者新島襄は、良心の意味を、辞書で言っているのとは、少し違った意味と考えました。

 では、新島襄のいう「良心」とは、どういう「心」なのでしょうか。実は、新島襄が使った「良心」と言う言葉もそう簡単ではないのですが、それを簡単に申しますと、「良心とは、キリスト教の神様を何よりも大切にして、お祈りを通じてその神様と話し合い・対話し、最後は、神様の教えに従って物事を決める心(構え)」、これが良心だと考えました。そして、新島襄は、その良心に従って正しい行いができる人間・人物を育て、日本の国を良い国にしたいと考えたのです。

 その新島襄は、良心に従って正しい行いができる人間を育てるためには、キリスト教を、皆さんのような若い人に教えなければならないと考えたのです。キリストの教えこそ「良い心」「正しい行い」の基本である。そこで、新島は、キリスト教の学校として同志社を建てたのです。したがいまして、同志社幼稚園から同志社大学までの14の学校に共通した特徴は、同志社香里中学校・高等学校は勿論、どの学校もキリスト教主義の学校であるということです。このことは忘れないでいただきたいのです。

 そこで、皆さんにお願いがあります。皆さんは、キリスト教主義の学校に入学したのですから、クリスチャンになるかどうかはひとまず措いといて、聖書の授業をしっかり勉強し、キリスト教の中身を、よく知り、理解していただきたいのです。そして、新島襄が目指した同志社精神をしっかりと受け止め、新島襄の良心教育が皆さんお一人お一人の血となり肉となるように努力してほしいのであります。新島襄が、どういう「志」をもって同志社を作ったのかということを十分に理解し、皆さんお一人お一人が新島の志を受け継いで、「一国の良心」といわれるような立派な人物に育ち、社会や世界に向かって飛び立って欲しいのであります。

 皆さんのこれからの同志社香里中学校・高等校生活が、良心に恥じることのない、悔いのない、素晴らしいものとなりますようにお祈りしまして、総長のお祝いの挨拶といたします。

 皆さん、本日は、ご入学、本当におめでとうございます。

 

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