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総長スピーチ集

2017年度同志社大学大学院入学式祝辞(2017年4月3日)

同志社総長 八田 英二

 明治8年11月29日午前8時より、同志社英学校開校式は京都市上京区の校祖新島襄の自宅で始まりました。教員は新島とジェローム・ディヴィス宣教師の2名、生徒は僅か8名でした。式に先立ち、新島は祈祷を捧げています。ディヴィスは「あの朝開校に先立って新島が涙の中で捧げた、誠実にして懇篤(こんとく)なる祈りを私は終生忘れることはできない。すべての者が心から祈った。」と書き残しています。新島の祈祷から始まった教育事業は、1912年には同志社大学の設立へ、やがて大学院教育による卓越した研究者、知見に溢れる教育者、社会の各分野で活躍する高度専門職業人の育成へと裾野を拡げてまいりました。
 本日、ファウラー・チャペルで、入学式に臨まれている新大学院生の皆さんに、学校法人同志社総長として、心からの祝福を贈ります。ご入学、本当におめでとうございます。今日からは、修士課程、博士課程、あるいは専門職課程に進まれ、それぞれの分野での高度な知的活動に勤しまれます。同志社大学大学院の提供する優れた教育資源、研究環境を思う存分に駆使し、夢の実現を目指してください。皆様の前途には希望に満ち溢れた道程が光輝いています。また、この式典に臨まれている、ご家族、関係者の皆様にもお祝いを申し上げます。新島を創立者に抱き、同志社教育に携わる者として、新大学院生をキャンパスに迎える日は、前途有為な若者の教育に携われる崇高なる喜びを実感する日です。
 記念すべき入学式にあたり、同志社の教育事業の根幹にある建学の精神についてお話しをしておきたいと思います。かつて新島は「それ教育の目的は、独立不羈にして精神あり、活気あり、自由を愛し、真理を愛し、邦家のために一身を捧げて働くところの人士を養成するにあり。然り而(しこう)してこれを養成するには成るべく学生を束縛せず、その性質に従って発達せしめざるべからざるなり」と理想を語り、自ら立ち、自ら治むるの人民、自治自立の人民の育成を同志社教育の目的に据えました。そして、その基盤をキリスト教主義精神に求めました。このような教育思想はアメリカで経験した高等教育、宗教活動を通して形成されてきたものです。同志社教育の原点ともいうべき良心教育に基づいた教育活動や研究環境は大学院教育でも何ら変わるところはありません。
 かつての同志社英学校の卒業生、新島の弟子たちは日本全国に赴き、近代社会の形成に大きな足跡を残しました。例えば教育界では、安部磯雄、浮田和民(かずたみ)、家永豊吉、大西祝(はじめ)、岸本能武太などが大隈重信の設立した東京専門学校、現早稲田大学の教壇に立ち、その才能を開花させ、新しい学風の樹立に寄与しています。新島は明治23年1月に天に召されました。大隈が新島永眠20年の記念集会に寄せた式辞を紹介したいと思います。その中で、大隈は新島襄と福沢諭吉の名を挙げ、 「明治年間に功労顕著なる教育家少しとせず、然れども余の最も推服する人を挙げれば、先ず指を新島先生と福沢先生とに屈せざるを得ず、福沢先生は大いなる常識を備へて西洋の物質的智識の教育を施し、独立自尊の倫理を説き且つ実行したる人なるが、新島先生は又之と趣を異にし、キリスト教主義の精神的教育を施し、生命あり活気あり真理を重じ主義を重ずる人物を作るを目的とせられたり。」と述べております。それぞれの私学はそれぞれの建学の精神、教育の理念のうえに教育事業を展開しています。そして皆さんは、ここ同志社での大学院教育・研究を自ら主体的に選択されました。現在は過去の延長線上にあることは確かです。しかし、将来を過去から現在への延長線上に求めるよりも、むしろ将来を設定し、そこに到る道筋を現在から描いてください。同志社はその名のとおり、若者の「志」を重視する教育組織です。皆さんのこれからの大学院生活が知的好奇心に溢れ、新たな出会いの連続であるように、そして神の恵みが豊かにあるように祈念して私の祝辞といたします。

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