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総長スピーチ集

2014年度同志社大学大学院入学式祝辞(2014年4月3日)

同志社総長 大谷 實

学校法人同志社には、同志社大学のほかに、同志社女子大学、四つの高等学校、四つの中学校、二つの小学校と幼稚園そしてインタナショナル・スクール、併せて14の学校がありまして、そこで只今約4万2000人が学んでおります。先ほど学長から式辞がありましたが、私は、学校法人同志社総長として、新入生の皆様に、一言、お祝いの挨拶を申し上げます。

大学院新入生の皆さん、本日は、同志社大学大学院へのご入学、誠におめでとうございます。入学までのご努力に深い敬意を表したいと思います。

ご案内のように、同志社大学には、只今、伝統的な大学院として14研究科があります。これとは別に、2つの専門職大学院が設置されておりまして、併せて、16の研究科となりました。大学改革のもと、文字通り同志社大学の大学院も多様化してまいりました。それに伴いまして、大学院への進学の目的や、修了後の進路も多様化してまいりました。こうした傾向は、高等教育の進化・発展にとって大変好ましいことでありますが、当然のことながら、大学院における教育研究のあり方に変化をもたらしており、特に語学や基礎理論が余り重視されなくなってきているのではないかと危惧しております。

しかし、大学院は、学校教育法99条1項が定めていますように、「学術の理論および応用を教授研究し、その深奥をきわめ、または高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識および卓越した能力を培い、文化の進展に寄与することを目的とする」教育・研究機関でありまして、国や社会も、高度な学識を持った専門家の養成を大学院に期待しているのだと思います。つまり、今日の社会は、その高度な技術化、複雑化に伴い、本格的な学問研究を身につけた、高度な専門家としての資質、能力および学識を備えた人材を求めていることに十分留意されて、研究に励んでいただきたいと存じます。

特に、研究・教育を目指す院生が少なくなっている現状は、学術の研究・教育の向上にとって深刻であります。また、同志社大学にとっても、本学出身の教員・研究者が年々減少している傾向は、決して好ましいものではありません。どうか、同志社大学院で優れた成果をあげられ、同志社大学の学術研究および専門教育を担う、「同志社人としての研究者・教育者」を目指して頑張って欲しいと思います。

一方、専門職大学院であります司法研究科やビジネス研究科について、学校教育法99条2項は、「高度の専門性が求められる職業を担うための学識および卓越した能力を培うことを目的とする」大学院と規定していますが、学術研究が重要である点は、伝統的な大学院と同じではないかと思います。司法試験の予備校や企業実務の研修所としてだけではなく、また、思いつきや断片的知識を得るためではなく、自ら主体的に課題に取り組み、理論に即した体系的・学術的な手法で専門領域の問題の解決に取り組まなければ、本格的な職業人にはなれないと考えます。専門職大学院に入学された皆さんも、どうか、研究者としての課題にも取り組んでいただきたいと存じます。4年間で習得された幅広い教養からもたらされたモティーヴェーションに基づくテーマを選び、それに執着し、こだわりをもって研究に励み、独自の考え方をまとめる努力を惜しまないでいただきたいと思います。

なお、同志社大学は、開学以来、教学の理念として、キリスト教主義、自由主義および国際主義という三つのプリンシプルを基礎として、「仰いで天に恥じず、伏して地に恥じない」「良心を手腕に運用する人物」の養成、つまり良心教育を目指してまいりました。この良心教育こそ同志社の歴史と伝統を支えている同志社ブランドであります。大学院のカリキュラムに教学の理念は入っていませんけれども、どうか、キリスト教主義の名に恥じない、モラルに強い同志社人、そして、国際主義の名にふさわしい語学に強い専門家を目指して研究に励まれ、今日の困難な時代のリーダーとして、まさに、「一国の良心」として活躍されることを目指し、研究に没頭されることを期待いたしまして、私の祝辞とします。

本日は、ご入学、誠におめでとうございます。

 

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