学校法人　同志社　事業報告書　2014

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学校法人 同志社 事業報告書20147スでは、終末期を迎えている人の心をケアする方法など、人間の命にも向き合います。そうした人の生死や悩みなどに寄り添っていく人物の育成もまた、同志社の女子教育に伝統的に受け継がれていることと考えています。──様々な角度から、命にかかわる教育がなされてきたのですね。そうした他の学部・学科と看護学部との連携もあるのでしょうか。加賀　はい、考えています。2015年2月に竣工した看護学部関連棟「蒼苑館」の1階には、薬学部の関連施設が入っています。例えば、ここで両学部が共同で研究することも今後なされていくでしょう。施設面をもう少し詳しく言えば、蒼苑館は実習室や研究室が主です。看護学部の学生たちも講義のため様々な棟に足を運ぶので、自ずと他の学部の学生との交流が生まれるはずです。そこで総合大学ならではの「化学反応」が起きて、多様性を持った看護師が育まれることを期待しています。岡山　総合大学で学ぶ強みというのは非常に大きいと考えています。看護実践力を学ぶことを第一にするのは看護学部の学生としては当然です。しかしそのバックボーンとして人間力や、寄り添う心といったものをしっかり学んでほしいと思っていますし、総合大学にはそれらを学ぶ環境がそろっていると思います。──まさに、身体だけでなく心をも癒やすという「人間の全体性の回復」を担う力が養えるということでしょうか。加賀　そうです。看護というのは注射を打ったり手術の補助をしたり、ということだけではありません。ただ身体をふいて清めるだけで、弱っている命を回復させられることもあります。そうしたことを大切にする医療人を育てたいと考えます。　言うなれば、同志社スピリットを持った看護職者を送り出したい。言葉にするのは難しいですが、自由かつ主体的に他者への愛を実践できる「キリスト教主義」、多様性を受け入れ人類の共生に取り組む「国際主義」、そして総合的に人間力を磨く「リベラル・アーツ」。これらを身に付けた上で、現場で活躍してほしいのです。──同志社スピリットを現代の医療環境で生かすため、どのような教育手法を取られますか。岡山　私が学生のころは「見て学べ」という教育で、実習先で看護師の働く姿を見て学んだものです。しかし今は医療環境も変わってきています。例えば患者さんの権利、個人情報などを守る必要があり、実習できる範囲も限られます。それでも看護技術は修得しなければなりません。様々なシミュレーターなどを使い、実習に赴く前にまず学内で練習を積むといった工夫が必要となっています。　そこで、蒼苑館の施設を充実させました。基礎看護学をはじめ、母性、小児、成人、高齢者看護学といった領域別に実習室を設置し、それぞれの看護技術をしっかり学ぶことができます。さらに学生たちが主体的に学べる環境として「プラクティカル・サポート・センター」を設け、開室時には看護スタッフの指導の下、学生が学びたい技術をいつでも学ぶことができます。　教育課程にも工夫を凝らしています。「全学共通科目」と「学科科目」から構成され、系統的で段階的な履修ができます。前者では幅広い知識や教養が修得でき、総合的な理解力が養えます。後者では医学や社会保障にかかわる科目と看護学関連の科目で構成され、専門的な学びを深めていきます。──総合大学を舞台に人間力を育みながら、技術修得も自由に主体的にできる。それが同志社女子大学の看護学ということですね。岡山　まだまだ模索中ではありますが、同志社女子大学らしい看護学教育を追求していきたい。卒業して看護職者として生涯頑張ってほしいと思う一方、もし看護の現場を離れても「ここで看護学を勉強してよかった」とずっと思えるような教育をしていきたいということです。それを今年入学した82人の学生と、様々な教育キャリアを持った教員たちとともに、コミュニケーションを深めながら構築していきたいと思います。加賀　コミュニケーションで言えば、その範囲は学外にも広がります。すでに大規模な病院と包括協定を結び、新しいケアプロジェクトを進めていこうと協議しています。これは医療だけでなく、文系の分野も含めた学術交流を目指しています。病院という現場で様々な活動を展開し、そこから問題意識を持ち帰って学問に生かすという循環的な営みを実行していきたい。現場との交流によって新しい看護教育の理念と実践の在り方を探っていこうということです。岡山　施設やカリキュラムを充実させる一方で、病院や施設での実習で得る部分も重視しています。そのフィールドが広がっていけば、また新たな連携の可能性が見えてくるでしょう。私自身とても楽しみにしているので、学生たちにも大いに期待を寄せていただければと思います。2015年2月に竣工した看護学部関連棟「蒼苑館」看護学部で学ぶ専門的な知識、技術、態度と、それを支える同志社女子大学の強み多様な看護ニーズに対応できる看護実践能力キリスト教主義〈愛〉リベラル・アーツ〈知〉国際主義〈他者理解〉

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