学校法人 同志社 事業報告書 2013
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62013―同志社大学で14番目の学部となるグローバル地域文化学部が、2013年4月に開設されました。村田 冷戦の終焉、世界規模の金融再編、インターネットの普及による情報環境の変化など、ここ20年間にグローバル化は加速しています。しかし、グローバル化が私たちの社会や生活に及ぼす影響は、すべてが明らかになっているとは言えません。それだけに、私たちはグローバル化の構造について学問的に探究する必要があるのです。 世界の各地域では、グローバル化と地域文化の固有性とのせめぎ合いが起こっています。グローバル化による摩擦や衝突が地域で続発しており、その解決が重要な課題になっているのです。グローバル化でもたらされた問題を解決するには、グローバルな視点に立つのと同時に、固有な地域文化に目を向けて考えなければなりません。 これまでの地域研究は、ヨーロッパ、アジアなど個別の地域に注目して、その固有性のみを議論する傾向にありました。一方で、国際関係の研究はグローバルな視点で何もかも俯瞰的な枠組みで考え、個別性を重視しているとは言えませんでした。グローバル地域文化学部では、世界を俯瞰的にとらえるのと同時に、諸地域の文化の固有性を理解する能力を備えた人物を育成します。―髙木先生はグローバル地域文化学部の学部長に就任しました。教育内容の特徴について教えてください。髙木 グローバル地域文化学部に入学した学生は、「ヨーロッパコース」「アジア・太平洋コース」「アメリカコース」のいずれかを選択して、それぞれの地域の固有の歴史や文化、社会を学びます。次に学生は、英語圏、フランス語圏、中国語圏といった具合に視野を広げ、地域を横断して見られる事象や取り組むべき問題(グローバル・イシュー)を学んでいきます。 ヨーロッパ、アジア・太平洋、アメリカ地域は、それぞれが独自の文化と社会を形成するとともに、互いに影響を及ぼしながら発展してきました。ヨーロッパについては宗教、移民、植民地主義、アジア・太平洋については、文化衝突、歴史理解、環境・資源、アメリカは人種・民族、ジェンダーなどの知見が求められるでしょう。さらに、グローバル化の中で「この地域で、なぜこの課題を抱えることになったのか」を学び、課題の解決方法を考えていくのです。 学生は、地域を学ぶ重要なツールとして、世界共用語の英語とともに、さらにもう一つの外国語の習得に努めます。地域の言語を学ぶことによって、グローバル化で地域の固有性がどのような変化を求められているか、あるいは変化に抵抗しているかについて理解を深めるのです。英語と、もう一つの外国語、さらには日本語という母語の同志社大学長、グローバル地域文化学部長国際的な諸問題を解決に導く「グローバル社会の良心」を育む̶グローバル地域文化学部を開設同志社大学村むら田た晃こう嗣じ学長同志社大学髙たか木ぎ繁しげ光みつグローバル地域文化学部長

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