学校法人 同志社 事業報告書 2013
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4─2014年は同志社創立者・新島襄の海外渡航150周年に当たります。 新島襄が函館の地から国禁を犯して密出国し、米国に向かって渡航したのは、今から150年前の1864年(元治元年)6月14日のことです。新島襄が「志」を行動に移したこの日が、キリスト教的な世界観を涵養し、自らの手で日本に私学を設立することを決意するに至る米国での生活の出発点になりました。海外渡航150周年という記念すべき年に改めて新島の志を思いますと、誠に感慨深いものがあります。─13年には、新島襄の妻・八重を主人公にしたNHK大河ドラマ「八重の桜」が放送されました。 大河ドラマの放送を通じて、同志社設立にかけた新島襄の信念や建学の精神を全国の皆様に具体的に知ってもらえたことは、総長として願ってもない大きな喜びです。 東日本大震災を機に、「これまでの物質文明、経済優先の時代から、心の時代にパラダイムシフトしなければならない」と言われています。ここで言う「心の時代」とは、自らの人生をどう生きるかという意志を、一人ひとりが明確に自覚することだと思います。 今こそ私たちには、新島襄・八重が体現した「自ら立ち、自ら治める」人間として生きる覚悟が必要なのではないでしょうか。今回の大河ドラマは、同志社建学の理念である「自由主義(自治自立主義)」に、全国の皆様が思いを馳せる機会になったのではないかと期待しています。 東日本大震災からの復興、東北地方の医師不足の解消といった地元の要請を踏まえて文部科学省は、「東北地方で1校に限り、医学部新設を認める」という基本方針を示しています。13年8月に「医学部(医科大学)を展望する部会」を理事会の下に設置した同志社は、医学校の設立という新島の描いた夢の実現に向けて、真剣に検討し続けてきました。しかし、市場性及び経営上の課題、並びに教職員の人材確保といった課題を考慮すると、今回の構想には、設置申請を提案する状況にはないと判断しました。ただし、同志社における医学教育の重要性は変わるものではなく、今後も引き続き医学教育の可能性について、検討を続ける所存です。─総長就任から13年間、「一貫教育体制の強化」を推進されています。 同志社には、幼稚園から大学院までの一貫教育体制が整っています。01年の総長就任当時から、「一貫教育体制の強みを生かさなければ、さらなる発展は望めないのではないか」と考え、法人内各学校の連携・交流を促進し、一貫教育体制のメリットを生かせるプログラムを実行してきました。例えば「合同学校説明会」や「同志社研修・交流会」は、一貫教育を推進するための事業として定着しています。 今後は、立石ファンドを活用した法人内中学校・高等学校における国際化推進プログラムなどをさらに推進し、かつて世間で評されてきた「英語の同志社」の復活を目指したいと考えています。一方、法人内各学校間のスポーツ交流も盛んになっています。教学の統括者である総長として、「知・徳・体」を体得できる教育を目指して、引き続き新たな事業に積極的に取り組み、一貫教育のさらなる推進と、より一層の充実に尽力してまいります。「知・徳・体」を体得できる一貫教育のさらなる推進に努めますMessage fromChancellor大おお谷や 實みのる総長からのメッセージ

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