学校法人 同志社 事業報告書 2011
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学校法人 同志社 事業報告書201111ハイライトハイライト2研究「研究大学」としてのステータス確立をめざし、大学、女子大学で革新的な研究成果が相次ぐ 世界に通用する「研究大学」としてのステータス確立をめざす同志社大学と同志社女子大学では2011年度に、革新的な研究成果が相次ぎました。環境に優しいレアメタルの製造法 同志社大学理工学部の盛満正嗣教授は、レアメタルとベースメタルの画期的な製造方法「電解採取法」を開発しました。米Republic Alternative Technologies社へ特許を実施許諾し、その事業化を行っています。2011年9月20日に開催した事業化開始の記者発表会には、Republic社CEOのMartin Zanotti氏にも出席していただきました。 盛満教授の製造方法を使うと、二次電池や電気自動車に不可欠のCo(コバルト)やNi(ニッケル)などのレアメタルや、電池・モーターなどに使われているZn(亜鉛)やCu(銅)などのベースメタルを作る際に、消費電力量を最大で30%も削減できます。従来の製造方法では対応が難しかったスラッジ(金属汚泥)の発生量を減らすこともできます。 盛満教授が開発した技術は、レアメタルやベースメタルを製造する際の使用電力量(CO2発生量)と有害物質の排出量を大幅に削減できる、環境に優しい製造方法なのです。アルツハイマーの原因物質を特定 医学・ライフサイエンス分野では、同志社大学生命医科学部の井原康夫教授と舟本聡准教授が、理化学研究所や滋賀医科大学、ベルギーのアントワープ大学との共同研究で、アルツハイマー病の進行を早める物質の特定に成功しました。病気の仕組み解明や新しい治療薬、予防法などの開発につながる成果といえます。睡眠障害のリスク低減に貢献 同志社女子大学でも、医学・ライフサイエンス分野で革新的な研究成果が得られました。同志社女子大学薬学部の小西天二教授は琉球大学、株式会社クレイ沖縄などと共同で、高い睡眠誘発効果が認められている「オキシピナタニン」を、沖縄に自生する野草「クヮンソウ」から安定的に大量抽出することに、世界で初めて成功しました。 オキシピナタニンが、クヮンソウに大量に含まれていることは既に発見していましたが、安定的に抽出するのが極めて困難でした。今回の研究は、経済産業省の「地域イノベーション創出開発事業」(2009・2010年度)と沖縄県の「地域ネットワークを活用した健康バイオ新商品開発推進事業」(2011年度)の一環で行われたものです。 大量抽出したオキシピナタニンの機能解析を行うと、睡眠誘発効果が高く、睡眠中に異常な脳波を示すことがないなど、自然な睡眠を誘発する物質であることが分かりました。財団法人食品薬品安全センターの試験でも、安全性に問題がないことが確認されています。現代人の睡眠障害の解決に役立つ今回の研究成果を活用して、オキシピナタニン入り睡眠誘発サプリメントを、クレイ沖縄が商品化しています。 また、日立製作所とベネッセコーポレーションは2011年8月1日に、学習内容に応じて6種類の光を選択できる学習スタンド「調光式学びライトLED」を発売しました。この商品には、色温度と照度が人の認知機能に与える影響に関する、同志社大学生命医科学部の廣安知之教授と日立製作所の共同研究の成果が生かされています。陸上長距離の効果的な練習方法 同志社らしいユニークな研究もあります。同志社大学スポーツ健康科学部の石井好二郎教授などの研究チームは2011年に、陸上長距離ランナーの効果的な練習方法を編み出す研究を開始しました。 研究チームは日本陸上競技連盟の科学委員を務める石井教授や、大阪体育大学と兵庫教育大学の准教授・大学院生の合計13名で組織。高校駅伝の強豪・広島県立世羅高等学校の協力を受けて、陸上部員の身体データを測定し、日本人に適した練習方法などの開発を進めています。9月20日に開催した記者会見脳科学の知見を活用した学習スタンドオキシピナタニンが大量に含まれるクヮンソウ

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