学校法人 同志社 事業報告書 2010
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12ハイライト3研究・産官学連携理工系、人文社会系を問わず展開する同志社の社会連携 同志社大学は2010年11月26日、「新技術説明会」を初めて単独で開催しました。 「新技術説明会」とは、独立行政法人科学技術振興機構(JST)の主催により、大学の特許などの研究成果を、社会に還元する活動(技術移転)を積極的に支援するために開催されています。同説明会はこれまで、国公立大学による単独開催を中心に開かれてきました。同志社大学も単独開催を実現したことにより、社会で有意な技術を持つことを示しました。情報、介護、バイオなど多彩な技術 当日は、以下8つの技術説明がなされました。 「オフィスで個人ごとに希望の照度を提供する知的照明システム」は、個人ごとに執務に適切な照度と色温度を提供する次世代の照明システムであり、執務快適性を高め、省エネ効果に優れていることを主張しました。 「拡張現実感技術を利用した直感的な情報家電操作手法」は、ネットワークでつながれた情報家電をスマートフォン上の拡張現実感で直感的に操作する方法を提案。「モノの色彩変化演出のための照明と色材の分光特性制御技術」は、色変化のない照明光の分光特性変化で特定の色材のみの色を変化させる方法とその活用方法を示しました。 「比較的健常な一人暮らし高齢者の生活支援と安全確保のための在宅支援システム」は、比較的健常だが一人暮らしをしている高齢者の日常生活に対して精神的応援を与えるシステムのことです。「磁性金属と磁性酸化物フェライトの高密度ハイブリッド」は、飽和磁束密度の高い金属粒子を、高電気抵抗の磁性酸化物で被覆した複合材料を作製することに成功し、その内容を報告しました。 「高耐酸化性及び抵抗温度係数が可変な金属珪化物薄膜抵抗体」は、酸化性雰囲気においても、800℃程度まで長時間使用可能な薄膜発熱体の製造を可能にした技術です。 「赤外線ビジョンによる歯車の歯当たり解析技術」は、歯車のかみあい時の歯面のわずかな温度上昇から歯当たり部を抽出し、かみあい接触面内の面圧分布を調べる手法です。「S-アリルシステインは老化や環境ホルモン暴露による精子の品質低下を予防」では、ニンニクの抽出成分の1つであるS-アリルシステイン(SAC)の有用性を示しました。人文社会科学系も目立つ産官学連携 同志社大学は、10年度文部科学省「大学等産学官連携自立化促進プログラム(機能強化支援型)」の実施機関として採択されました。産官学連携活動を支援し、大学が自立して連携活動を行える環境の整備を図ることを目的としています。 本学では、02年にリエゾンオフィスを設置し、産官学連携の動きを加速させてきました。さらにこの取り組みを推進するため、11年1月には、「人文社会系産官学連携推進リーフレット」を発行しました。人文社会系のシーズを活用した産官学連携の内容や方法、契約スキーム、事例などを掲載しています。 産官学連携で特筆すべき事例は2つあります。1つは、「産学連携に役立つeラーニング普及研究会」です。大学は多くの貴重な知的資産を保持しているにもかかわらず、それらが学外で有効に活用されていない現状にあります。その状況を踏まえ、研究会を立ち上げました。これらの知的資産がさらに活発に活用されるための条件や注意点を発見し、改善策を提言しました。 もう1つの特徴的な事例は、「社会起業家養成塾」です。現代社会が抱える社会的課題の解決や社会創造に対して、持続可能なビジネスモデルに取り組む起業家を産官学が連携して育成することを目的としています。入塾した2組についてサポートを終えた11月には、学内で報告会を開催しました。 同志社大学は、今後さらに、人文社会系の研究実績を活かした産官学連携の推進により、新たな価値の創出を目指すとともに、総合大学ならではの多彩な知的シーズを有効に活用し、社会貢献に役立てていきます。11年1月に発行された「人文社会系産官学連携推進リーフレット」2組の起業家を育成した社会起業家養成塾「産学連携に役立つeラーニング普及研究会」では知的資産の活用の在り方を研究

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