学校法人 同志社 事業報告書 2008
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4――創立者新島襄はかつて「教育は200年の事業である」と語り、未来に夢を馳せました。創立134周年を迎える学校法人同志社の今後の課題は何でしょうか。私立学校を取り巻く環境が厳しさを増しておりますが、同志社が200年の大計に向けて取り組むべき課題の核心は明確です。それは創立者新島襄の建学の精神に従い、自信をもって「良心教育」を展開し、良心を手腕に運用する人物、一国の良心ともいうべき人物を輩出することに尽きます。幸い、同志社には、キリスト教主義、国際主義、自由主義(自治自立主義)を基礎とした良心教育の伝統があります。創立者の唱道した良心教育を「同志社ブランド」として一層鮮明に打ち出し、社会にアピールすることが重要です。その良心教育を一貫教育の理念として再認識し、現代にもっとも欠けている徳育を促す一貫教育体制の一層の充実を図らなければなりません。21世紀は人権の時代であるとともに、倫理の時代であるともいわれています。その意味で、良心教育を目指した新島の時代が21世紀になってようやく到来したともいえます。――「同志社国際学院初等部」「同志社国際学院国際部」の設置を含め、国際主義のさらなる飛躍に向け、今後の展開をお聞かせください。「同志社国際学院初等部」および「同志社国際学院国際部」の設置が、経済界、産業界ならびに地域社会からの要請に応え、産官学の連携および地域社会の発展に寄与するとともに、一貫教育のなかで、初等教育段階から国際的観点に立った同志社教育を展開します。さらに、建学の精神の一つである「国際主義」の一層の充実と水準の向上を図り、その教育効果を世界に向けて発信できるよう努めなければなりません。日本を取り巻く国際情勢が大きく変化するなか、教育機関は、地球規模の視野をもって国際社会で活躍する人材を養成する責務に迫られています。今後も引き続き、建学の理念の具現化により、良心をもって国際社会の平和と人類の福祉に貢献する「国際主義」を実践していきたいと考えています。――幼稚園から大学院に至る一貫教育体制が整っています。今後、この体制でこそ可能な施策をお聞かせください。5中高校長、小学校長、幼稚園長からなる7校園長懇談会からの要望を受け、昨年初めての試みとして、教員が一堂に会して研修・交流する「同志社研修・交流会」を開催しました。法人内各学校の連携と協力のもと、園児、児童、生徒、学生が抱える諸問題の解決策を模索し、また教育力の向上を図るためのものです。2009年度以降もプログラムを工夫・改善した形で実施し、法人内各学校の一層の充実・発展、連携強化、相互交流にとって意義深いものとなることを期待しています。また、07年から、一貫教育のなかで、発達段階に即した法教育の実践を進めています。創立者新島襄が願った幼稚園から大学院に至る完全な一貫教育体制の実現は、キリスト教主義に基づき、自治自立の人格を確立し、国際感覚豊かな人物を育成する同志社の教育理念を一層揺るぎないものとするはずです。総長からのメッセージ�大谷 實�おお�や�みのる�200年の大計に向けてより一層の良心教育を展開

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